今回は、社労士試験の判例対策についてお話します。
労働基準法、労務管理その他の労働に関する一般常識(労働契約法、労働組合法)では、択一式、選択式を問わず、裁判例から出題されることがあります。判例からの出題は、裁判所がどのような規範に基づいてどのような結論を出したかといったことを理解記憶していることが求められます。
たとえば、令和6年度の本試験では、労働基準法の選択式問題において、次のような出題がありました。
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間とは、労働者が使用者の( B )に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の( B )に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。
答えとしては、ここは「指揮命令下」が入ります。そして、裁判では、この事案において、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかを具体的に検討していきます。
社労士試験では、こういった規範のキーワードを理解記憶していくことが重要になります。
そこで、今回は、判例知識を習得する方法を探していきましょう。
基本書
ひとつめは、基本書を使った方法です。多くの基本書は、判例についての記述があります。たとえば、「出る順」シリーズの基本書においては、労働時間のところに前述の判例が掲載されています。こういったものをひとつひとつ丁寧に読み込んでいけば、合格レベルに達することが可能です。
雑誌・ムック
ふたつめは、雑誌・ムックを使った方法です。なお、「ムック」とは、「雑誌」と「書籍」の特性を兼ね備えた出版物のことをいい、「magazine」と「book」を組み合わせた和製英語です。社労士試験向けのものとしては、たとえば、例年5月頃にTACから発売される「無敵の社労士3」には、法改正・一般常識・判例といった直前対策に必要なものが収録されています。
ほかにも、「社労士V」や「月刊社労士受験」でも判例についてまとめているものが発売されるので、こういったものを活用するのもひとつの方法です。
労働判例百選〔第10版〕
最後は、『労働判例百選』です。判例集はいくつかありますが、デファクト・スタンダードになるのが、この「判例百選」シリーズです。判例の問題は、ここから出題され、また基本書や雑誌に書かれている判例に関する記述は、本書を参考にしていると思われます。もっとも、社労士試験対策としては、オーバーワークなので、あくまで余裕がある方、網羅的に学習したい方におすすめします。
まとめ
社労士の判例対策ができる書籍等を紹介しました。近年、判例学習の重要性が高まっています。まずは、基本書で判例についての理解を深め、知識が足りないと感じたときは、雑誌等で知識を補充していくのが現実的といえます。次回の本試験、判例対策をして臨みましょう。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。