健康保険法の保険者から通則について学習します。第2章「保険者」は、3つの節に分かれています。
- 第1節:通則
- 第2節:全国健康保険協会
- 第3節:健康保険組合
まずは、全体をまとめる通則について見ていきましょう。
保険者
ここで、健康保険の保険者は、全国健康保険協会(協会)と健康保険組合の2つがあることがわかりました。
全国健康保険協会管掌健康保険
全国健康保険協会は、健康保険組合の組合員でない被保険者の保険を管掌する(5条1項)。
全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う(5条2項)。
協会は、組合の組合員でない被保険者の保険を管掌します。
参考:保険者とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
組合管掌健康保険
2以上の事業所に使用される者の保険者
同時に2以上の事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者は、厚生労働省令で定めるところによる(7条)。
被保険者は、同時に2以上の事業所に使用される場合において、保険者が2以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければならない(規則1条の3第1項)。
2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、被保険者は、その被保険者に関する機構の業務を分掌する年金事務所を選択しなければならない。ただし、前項の規定により健康保険組合を選択しようとする場合はこの限りでない(規則1条の3第2項)。
被保険者は、同時に2以上の事業所に使用される場合で、保険者が2以上あるときは、被保険者の保険を管掌する保険者を選択しなければなりません。たとえば、同時に2つの事業所に使用される場合は、保険者は以下の組み合わせが考えられます。
- 協会・協会
- 協会・組合
- A組合・B組合
選択しなければならないのは、保険者が2以上あるときなので、協会と協会のときは該当しません。そのため、一方が協会でもう一方が組合、またはどちらも別の組合のときに保険者を選択する必要があるということです。
規則1条の3第2項について、2以上の事業所に係る日本年金機構の業務が2以上の年金事務所に分掌されているとき、協会、協会の場合は1項で見たように保険者を選択する必要がありませんが、被保険者に関する業務をどこで行うか決める必要があるため、年金事務所を選択する必要があります。
ただし書きについて、1項で組合を選択する場合はその組合が保険者となるので、この限りでない、つまり、年金事務所を選択する必要がないということです。
条文を見るとびっくりしてしまいますが、ひとつずつ紐解くとわかると思うので、ゆっくり進んでいきましょう。
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