不動産登記法の雑則について学習します。雑則は、審査請求をみていきましょう。
審査請求
登記官の処分に不服がある者又は登記官の不作為に係る処分を申請した者は、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる(156条1項)。
審査請求は、登記官を経由してしなければならない(156条2項)。
登記官の処分に不服がある者、登記官の不作為に係る処分を申請した者は、登記官を経由して、地方法務局の長に審査請求をすることができます。
審査請求事件の処理
登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない(157条1項)。
登記官は、前項に規定する場合を除き、審査請求の日から3日以内に、意見を付して事件を前条第1項の法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない(157条2項前段)。
前条第1項の法務局又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない(157条3項)。
前条第1項の法務局又は地方法務局の長は、前項の処分を命ずる前に登記官に仮登記を命ずることができる(157条4項)。
前条第1項の法務局又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、登記官に当該申請を却下する処分を命じなければならない(157条5項)。
審査請求事件の処理を整理しましょう。まず、登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、または審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をします。かんたんにいうと、登記官側に不手際があったという場合です。
一方、前項に規定する場合を除き、つまり、審査請求に理由がない場合は、審査請求の日から3日以内に、意見を付して事件を法務局等の長に送付します。
法務局等の長は、送付された事件に対し、処分についての審査請求を理由があると認め、または審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人等に通知します。これは、登記官が理由がないと判断したけれど、法務局長が理由があると判断した場合です。事件が二段階で処理されていることがわかります。
5項について、法務局等の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、登記官に当該申請を却下する処分を命じなければなりません。処分についての審査請求は、一度処分されていて、それに対して審査請求をされていますが、「不作為に係る処分についての申請」は、まだ何も処分がされていないため、ここで「却下」する処分を命じます。
なお、試験対策上、次章の「罰則」は省略します。