【供託法】「法令ノ規定ニ依リテ供託スル…」カタカナ文語体の供託法を読み解こう

供託法

供託法について学習します。供託法は、司法書士試験の範囲だと珍しくカタカナ文語体が残っているものです。ここでは、まず、供託法、そして供託規則について学んでいきましょう。

法令ノ規定ニ依リテ供託スル金銭及ヒ有価証券法務局若ハ地方法務局若ハ此等ノ支局又ハ法務大臣ノ指定スル此等ノ出張所カ供託所トシテ之ヲ保管ス(1条)

法令の規定によって供託する金銭と有価証券は、法務局や地方法務局、法務大臣の指定する地方法務局の出張所が供託所として保管をします。この「法令の規定によって」の部分は、民法などがあります。ただ、ここでは一旦、供託法の部分についてのみ言及します。

供託官ノ処分ニ不服アル者又ハ供託官ノ不作為ニ係ル処分ノ申請ヲ為シタル者監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請求ヲ為スコトヲ得(1条の4)

供託官の処分に不服のある者、または供託官の不作為にかかる処分の申請をした者は、法務局長等に審査請求をすることができます。

審査請求供託官ヲ経由シテ之ヲ為スコトヲ要ス(1条の5)

審査請求は、供託官を経由してします。

供託官ハ処分ニ付テノ審査請求ヲ理由アリト認ムルトキ又ハ審査請求ニ係ル不作為ニ係ル処分ヲ為スベキモノト認ムルトキ相当ノ処分ヲ為シテ其旨ヲ審査請求人ニ通知スルコトヲ要ス(1条の6第1項)

供託官ハ前項ニ規定スル場合ヲ除クノ外意見ヲ付シ審査請求アリタル日ヨリ五日内ニ之ヲ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ送付スルコトヲ要ス(1条の6第2項)

供託官は、審査請求を理由があると認めるときまたは審査請求にかかる不作為にかかる処分をすべきと認めるときは、相当の処分をして審査請求人に通知をします。

供託官は、前項に規定する場合を除くほか、つまり理由がないと認めるときは、審査請求があった日から5日以内に法務局長に送付します。

供託所ニ供託ヲ為サント欲スル者ハ法務大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ差出タスコトヲ要ス(2条)

供託所に供託をしようとするものは、法務大臣が定める書式によって供託書を作り、供託物に添えてこれを差し出す必要があります。

供託金ニハ法務省令ノ定ムル所ニ依リ利息ヲ付スルコトヲ要ス(3条)

供託金には、利息を付ける必要があります。

供託所ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ノ請求ニ因リ供託ノ目的タル有価証券ノ償還金、利息又ハ配当金ヲ受取リ供託物ニ代ヘ又ハ其従トシテ之ヲ保管ス但保証金ニ代ヘテ有価証券ヲ供託シタル場合ニ於テハ供託者ハ其利息又ハ配当金ノ払渡ヲ請求スルコトヲ得(4条)

供託所は、供託物を受け取るべき者の請求により、供託の目的たる有価証券の償還金、利息または配当金を受け取り保管します。ただし、保証金に代えて有価証券を供託した場合においては、供託者は利息または配当金の払渡しを請求することができます。

法務大臣ハ法令ノ規定ニ依リテ供託スル金銭又ハ有価証券ニ非サル物品ヲ保管スヘキ倉庫営業者又ハ銀行ヲ指定スルコトヲ得(5条1項)

法務大臣は、供託する金銭または有価証券ではない物品を保管すべき倉庫営業者または銀行を指定することができます。

供託物ノ還付ヲ請求スル者ハ法務大臣ノ定ムル所ニ依リ其権利ヲ証明スルコトヲ要ス(8条1項)

供託者ハ民法第496条ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ取戻スコトヲ得ス(8条2項)

供託物の還付を請求するものは、権利を証明しなければなりません。供託者は、民法496条の規定により、供託が錯誤またはその原因が消滅したことを証明しなければ、供託物を取り戻すことができません。参考として、民法469条を見てみましょう。

債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす(民法469条1項本文)。

 

供託物ヲ受取ルヘキ者カ反対給付ヲ為スヘキ場合ニ於テハ供託者ノ書面又ハ裁判、公正証書其他ノ公正ノ書面ニ依リ其給付アリタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス(10条)

供託物を受け取るべき者が反対給付をなすべき場合において、供託者の書面または裁判、公正証書その他の書面により給付があったこと、つまり反対給付をしたことを証明しなければ、供託物を受け取ることができません。

供託法はここまでです。続いて、供託の具体的な手続きについて定める供託規則を見ていきましょう。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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