【民事執行法】動産に対する強制執行について、執行官や事件の併合などのまとめ

民事執行法

民事執行法の動産に対する強制執行について解説します。前回に続き、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行のひとつであるという点を意識しましょう。なお、試験対策上、不動産と動産の間に規定されている船舶については省略します。

強制執行>金銭の支払を目的とする債権についての強制執行>動産に対する強制執行

動産執行の開始等

動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する(122条1項)。

動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる(122条2項)。

動産執行は、執行官の目的物に対する差押えにより開始します。不動産が、強制競売と強制管理の2種類あったのと比較しておきましょう。

債務者の占有する動産の差押え

債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う(123条1項)。

執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる(123条2項)。

執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する(123条3項)。

動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行います。2項については、本試験で問われる部分ではありませんが、執行官は、差押えをするに際し、強い権限を持っていることがわかります。

二重差押えの禁止及び事件の併合

執行官は、差押物又は仮差押えの執行をした動産を更に差し押さえることができない(125条1項)。

差押えを受けた債務者に対しその差押えの場所について更に動産執行の申立てがあった場合においては、執行官は、まだ差し押さえていない動産があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その動産執行事件と先の動産執行事件とを併合しなければならない(125条2項前段)。

前項前段の規定により二個の動産執行事件が併合されたときは、後の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、先の事件において差し押さえられたものとみなし、後の事件の申立ては、配当要求の効力を生ずる。先の差押債権者が動産執行の申立てを取り下げたとき、又はその申立てに係る手続が停止され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた動産は、併合の時に、後の事件のために差し押さえられたものとみなす(125条3項)。

不動産のときと異なり、動産は、二重差押えはできません。差押えを受けた債務者に対し、更に動産執行の申立てがあった場合、先の動産執行事件と併合されます。

超過差押えの禁止等

動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない(128条1項)。

先取特権者等の配当要求

先取特権又は質権を有する者は、その権利を証する文書を提出して、配当要求をすることができる(133条)。

動産は、先取特権、質権を有する者は、配当要求をすることができます。配当要求については、債権が終わったときに整理しましょう。

売却の方法

執行官は、差押物を売却するには、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める方法によらなければならない(134条)。

差押えられた動産は、入札または競り売りの方法により、お金に替えられます。なお、最高裁判所規則で定める方法について、「執行官は、動産の種類、数量等を考慮して相当と認めるときは、執行裁判所の許可を受けて、競り売り又は入札以外の方法により差押物の売却を実施することができる」とされています(民事執行規則121条)。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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