【民法】抵当権の効力について、被担保債権の範囲、物上代位のまとめ

民法
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抵当権は、債権者が、債務者または第三者の財産について、他の債権者に先立って、つまり優先的して自己の債権の弁済を受けられる担保物権のひとつです。

ここでは、抵当権には具体的にどのような効力があるか解説します。



抵当権の被担保債権の範囲

抵当権の被担保債権の範囲

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができます(375条1項本文)。

たとえば、建物に2つの抵当権を設定しているとします。1番目に抵当権を設定した債権者は、優先的に配当を受けられるので問題ありません。2番目に抵当権を設定した債権者は、「1番の人がこのくらいの配当を受けるから、自分はこのくらい配当が得られる」と考えて物件を評価します。

しかし、債務者が1番目の抵当権者にお金を返済せず、どんどん利息が増えてしまったとします。このとき、このすべての利息に対し、1番目の抵当権者が配当を得られることになってしまっては、2番目の抵当権者の利益を不当に害してしまうことになります。そこで、利息等は、満期となった最後の2年分についてのみ、抵当権を行使することができるとされました。

抵当権の物上代位

抵当権の物上代位

抵当権者は、その目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができます。ただし、抵当権者は、その払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければなりません(372条、304条1項)。

抵当権は、抵当権を設定した物について、債務者が売却や賃貸などによって得られる金銭、たとえば保険金等に対しても行使することができます。抵当権者側としては、「債務者がそれ(目的物)からお金を得るのなら、優先的に返してください」ということです。これを物上代位といいます。

ただし、保険会社から債務者に支払われた場合、それはもうただのお金(一般財産)なので、抵当権を行使することはできません。また、二重弁済の危険から第三債務者を保護する必要性もあります。保険会社は、誰に支払えばいいかわからず、不安定な地位に置かれてしまいます。そこで、債権者は、保険会社から保険金が債務者に払渡しされる前に保険金債権を差押えなければならないとしています。

抵当権の物上代位を題材にした問題

行政書士試験では、「物上代位」について、記述式問題でも出題されています。

AがBに対して有する貸金債権の担保として、Bが所有する甲建物(以下「甲」という。)につき抵当権が設定され、設定登記が経由された。当該貸金債権につきBが債務不履行に陥った後、甲が火災によって焼失し、Bの保険会社Cに対する火災保険金債権が発生した。Aがこの保険金に対して優先弁済権を行使するためには、民法の規定および判例に照らし、どのような法的手段によって何をしなければならないか。40 字程度で記述しなさい。

令和5年度 行政書士試験問題 問題45

※太文字はこちらで編集したものです。

物上代位により」、「Cによる保険金の払渡し前に、Aが保険金債権を差し押さえなければならない」といった内容のことを答えます。

SOMEYA, M.

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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