会社法の株式会社から新株予約権について学習します。
新株予約権は全8節で構成されています。もっとも、試験対策の点から重要度はそれほど高くないので、新株予約権がどのようなものか概要をおさえておきましょう。
目次
第1節 総則
新株予約権の内容
株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない(236条)。
① 当該新株予約権の目的である株式の数又はその数の算定方法
② 当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
③ 金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
④ 当該新株予約権を行使することができる期間
⑤ 当該新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項
(以下、省略)
新株予約権は、将来的に一定の条件で会社の株式を購入できる権利のことをいいます。新株予約権を持つ人は、あらかじめ定められた行使価格で株式を取得できるため、株価が上がった場合には利益を得られます。このことから、役員や従業員等のインセンティブなどにも使われます。
会社が新株予約権を発行するときは、この背景から、一定の事項を決めておく必要があります。まず、新株予約権でどのくらいの株式を発行するかを決めておく必要があります。また、新株予約権を行使するとき、つまり新株予約権を行使して株式を購入するときにいくら出資するか財産の価額を決めておく必要があります。ほか、新株予約権を行使することができる期間や発行された株式のうちどれだけを資本金等にするかなどを定めておく必要があります。
第2節 新株予約権の発行
募集事項の決定
株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない(238条1項)。
(以下、省略)
新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集事項を定めておく必要があります。募集事項は、先ほどの新株予約権の目的である株式の数などです。募集から割当てについては、募集株式の発行等と同じです。新株予約権は将来的に株式になることから、株式と同じ手続きが求められることを考えるとわかりやすいと思います。
新株予約権者となる日
① 申込者 株式会社の割り当てた募集新株予約権
② 総数引受契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集新株予約権
申込者は、割当日に、新株予約権者になります。
第3節 新株予約権原簿
※省略
第4節 新株予約権の譲渡等
※省略
第5節 株式会社による自己の新株予約権の取得
※省略
第6節 新株予約権の無償割当
※省略
第7節 新株予約権の行使
新株予約権の行使
① その行使に係る新株予約権の内容及び数
② 新株予約権を行使する日
新株予約権を行使するには、新株予約権の内容と数、いつ行使するかを明らかにする必要があります。なお、新株予約権を行使するのは、割当てを受けた者です。
新株予約権の行使に際しての払込み
新株予約権はあくまで株式を購入する権利なので、新株予約権を行使する日に、出資される財産の価額の全額を払い込まなければなりません。条文の表現だとわかりにくいですが、新株予約権を使って、株式を購入するお金を払い込むということです。
株主となる時期等
新株予約権者は、新株予約権を行使した日に、株主となります。
第8節 新株予約権に係る証券
※省略
まとめ
新株予約権について学習してきました。本試験対策として、新株予約権については、どのようなものかといった概要に加えて、
- 新株予約権の発行
- 割当日に、新株予約権者となること
- 新株予約権を行使するときは払込むこと
- 新株予約権を行使した日に、株主となること
といったかんたんな流れを把握しておきましょう。