会社法の株式会社の機関から株主総会及び種類株主総会等について学習します。第4章「機関」は、全12節で構成されています。今回は、株式会社の意思決定機関である株主総会及び種類株主総会等についてみていきましょう。第1節は、全3款ありますが、試験対策上、株主総会をおさえておけば十分です。
目次
第1款 株主総会
株主総会の権限
株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる(295条1項)。
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる(295条2項)。
この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない(295条3項)。
株主総会は、株式会社に関する一切の事項について決議をします。また、あとで学習しますが、株式会社は、迅速な意思決定するために株主総会とは別に取締役会という意思決定機関を設置することができます。取締役会設置会社は、取締役会が会社の常務について決議することができるため、株主総会は、会社法に規定する事項や定款で定めた事項に限り、決議をすることができます。
株主総会の招集
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(296条1項)。
株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる(296条2項)。
株主総会は、取締役が招集する(296条3項)。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集します。また、株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができます。これを臨時株主総会といいます。株主総会の招集権者は、原則として取締役です。
株主による招集の請求
総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる(297条1項)。
公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする(297条2項)。
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主は、株主総会の招集をすることができます。カッコ書きで「これを下回る…」となっているのは、これより株主にとって有利になるように設定した場合は、定款の規定が適用されるということです。反対に、100分の5以上や12箇月以上など株主にとって不利になる条件を定款で定めることはできません。
また、公開会社は権利を濫用されるのを防止するために6箇月という期間が設けられていますが、非公開会社の場合は、特定の者が株主のため、株式保有期間による制限はありません。
株主総会の招集の決定
① 株主総会の日時及び場所
② 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
③ 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
④ 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
⑤ 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
事項について、覚える必要はありませんが、株主総会を招集する場合には、一定の事項を定める必要があるという点をおさえておきましょう。また、このあと3号と4号について出てくるので、株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法によって議決権を行使することができる場合は、一定の制限がある点をおさえておきましょう。
株主総会の招集の通知
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の2週間(前条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、1週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない(299条1項)。
次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない(299条2項))。
① 前条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合
② 株式会社が取締役会設置会社である場合
株主総会の招集の通知は、原則2週間前までです。もっとも、非公開会社の場合は1週間、取締役会設置会社以外の場合で、これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間といったように緩和されます。もっとも、非公開会社の場合でも、前述の株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法によって議決権を行使することができる場合は、議決権を行使する余裕を与えるために、2週間前までとなります。
また、株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法によって議決権を行使することができる場合、取締役会設置会社である場合は、通知を書面でする必要があります。
公開会社 | 非公開会社 | |
取締役会設置会社 | 2週間 (書面) |
1週間 (書面) |
取締役会非設置会社 | – | 定款の期間 (3号4号は書面) |
株式のところで解説していますが、公開会社の場合、取締役会は必ず置く必要があるため、公開会社で取締役会非設置会社はありません。
まず、期間について、原則2週間です。そして、非公開会社なら1週間、さらに、取締役会非設置会社で、これを下回る期間を定款で定めた場合はその期間になります。
次に、書面について、取締役会設置会社は、書面でする必要があります。また、取締役会非設置会社でも3号又は4号に掲げる事項を定めたとき、つまり、株主総会に出席しない株主が書面や電磁的方法によって議決権を行使することができる場合は、書面で通知する必要があります。
招集手続の省略
株主の全員の同意があるときは、招集の手続を省略することができます。ただし、3号または4号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない、つまり、招集の手続を経る必要があります。
株主提案権
これを議題提案権といいます。
これを議案提出権といいます。先ほどの議題提案権は、「取締役を決めよう」などの議題を提案するものです。一方、議案提出権は、先ほどの議題について、「山田さんにしよう」といった具体的な議案を提出するものです。
これを議案の要領の通知請求権といいます。先ほどの議案を株主総会で突然提出しても、株主は「山田さんって誰だろう」となってしまいます。そこで、株主総会の日の8週間前までに、議案の要領を株主に通知することを請求することができるようになっています。
株主総会の招集手続等に関する検査役の選任
議決権の数
株主は、株主総会において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する(308条1項)。
前項の規定にかかわらず、株式会社は、自己株式については、議決権を有しない(308条2項)。
株主は、株式1株につき1個の議決権を有します。また、株式会社は、自己株式については、議決権を有しません。
株主総会の決議
株主総会の決議は、原則として、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行います。これを普通決議といいます。
以下、要件を加重した決議方法についてみていきましょう。
前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。(309条2項前段)。
※省略
通常の定款変更など、一定の場合は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います。これを特別決議といいます。詳細は省略していますが、各号において、どのような場合に特別決議が必要になるかが定められています。ただ、ここで暗記をするのは大変なので、それぞれの場所、たとえば株式併合などについて学習するときに、特別決議が必要である理由付けをしながら理解記憶するのをおすすめします。
カッコ書きについて、要件を加重することが認められます。一方、要件を軽減することは、決議要件を厳しくしている趣旨を没却するため認められません。
株式に譲渡制限を設定するときなどの場合は、議決権を行使することができる株主の半数以上であって、議決権の3分の2以上に当たる多数を持って行います。これを特殊決議Ⅰとします。特殊決議の表記については、基本書によって表現方法が若干異なります(ここでは「Ⅰ」としました)。特殊決議は、議決権ではなく、株主の半数以上という頭数要件が異なるのが特徴です。
さらに、株主ごとに異なる取扱いを定める定款変更では、総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数をもって行います。これを特殊決議Ⅱとします。
取締役会設置会社は、会社の常務の意思決定を取締役会で決定するため、株主総会の目的である事項以外の事項については、決議をすることができません。これにより迅速な会社運営が可能となります。
議決権の代理行使
書面による議決権の行使
議決権行使書面を株式会社に提出するため、書面による議決権の行使をすることができるときは、招集通知は必ず書面でする必要があるということが理解できると思います。
議決権の不統一行使
株主は、1株につき1個の議決権を有しています。この議決権を統一しないで、たとえば、取締役に立候補しているAさんに3分の2、Bさんに3分の1の議決権を行使するといったことができます。
取締役等の説明義務
取締役等は、株主総会において、説明を求められたときは、必要な説明をしなければなりません。もっとも、株主総会の目的である事項に関しないものである場合などは、説明義務はありません。
議事録
株主総会の決議の省略
第2款 種類株主総会
※省略
第3款 電子提供措置
※省略