民法の物権の総則から動産に関する物権の譲渡の対抗要件について学習します。
前回までは、「不動産」について見てきました。今回は「動産」です。
動産に関する物権の譲渡の対抗要件
動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなければ、第三者に対抗することができません。不動産のときは登記であったことと比較しましょう。
この引渡しは、「占有権の取得」のところで学習する4つの方法が規定されています。
現実の引渡し及び簡易の引渡し
①現実の引渡しは、現実に引き渡されるものです。売主Aが買主Bに対して目的物を引き渡す場合です。引渡しは、売買だけでなく贈与等の場合もありますが、わかりやすいように売買を例にします。
②簡易の引渡しは、Bが、Aから目的物を借りている状態で、Aから譲渡を受けた場合です。目的物はすでにBの手元にあるのが特徴です。
占有改定
③占有改定は、売主Aが買主Bに対して目的物を譲渡し、以後Bのために占有する意思を表示した場合です。簡易の引渡しは、買主が占有していて譲渡を受けた場合、占有改定は売主が占有したまま譲渡するものです。
指図による占有移転
④指図による占有移転は、売主Aが、代理人Cに目的物を占有してもらっており、Cに対して以後買主Bのために目的物を占有することを命じ、Bが承諾したときに、引渡しがあったとされるものです。重要なのは、承諾をするのは代理人Cではなく、買主Bである点です。試験ではこの点が狙われます。