民法の総則の法律行為の代理から復代理人について学習します。
任意代理人による復代理人の選任
復代理人とは、代理人が選任した代理人のことをいいます。復代理人の権限等については、ひとつずつ条文を確認していきましょう。
委任による代理人は、本人から任意で代理権を得ているので、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ復代理人を選ぶことができないとされています。
法定代理人による復代理人の選任
法定代理人とは、法で定められている代理人です。たとえば、「成年に達しない子は、父母の親権に服する。」(818条1項)として、父母に親権が与えられており、「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。」(824条本文)として、親権を行う者に、子の代理権が定められています。親は未成年の子に代わってさまざまな手続をする場合があります。この場合は、自ら進んで代理権を得たわけではないので、自己の責任で復代理人を選任することができます。
法定代理人が復代理人を選んだときは、原則として自己の責任になりますが、やむを得ない事由があるときは、復代理人の選任と監督についてのみ責任を負います。
本試験でそれほど問われるところではありませんが、任意代理人と法定代理人の原則と例外について、整理しておきましょう。
任意代理人 | 法定代理人 | |
復代理人の選任 | 原則:不可 例外: ・本人の許諾 ・やむを得ない事由 |
可能 |
代理人の責任 | 債務不履行の一般原則 | 原則:自己の責任 例外:やむを得ない事由 |
なお、任意代理人の代理人の責任が「債務不履行の一般原則」となっているところが難しく感じる方もいると思うので補足します。法定代理人における代理人の責任が105条で規定されているのに対して、任意代理人における代理人の責任については、特別の規定は設けられていません。
そこで、どうするのかというと、債務不履行の一般原則を使うことになります。そのため、基本書などでは、「債務不履行の一般原則」となっているのです。
そして、債務不履行のときはどうなるかというと、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」とされています(415条1項本文)。つまり、代理人は、債権者から原則として損害賠償請求されるということです(例外もありますがここでは割愛します)。債務不履行については、あとで、債権総論のところで学習していきましょう。
復代理人の権限等
復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する(106条1項)。
復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う(106条2項)。
復代理人は、本人を代表します。代理人を代理するわけではない点に注意しましょう。