TAC出版の「スッキリ行政書士」シリーズについて、特徴や使い方、メリット、デメリットまで解説します。
「スッキリ行政書士」のシリーズ
「スッキリ行政書士」シリーズは、以下のものがあります。
- スッキリわかる行政書士
- スッキリとける行政書士
- スッキリおぼえる行政書士
他のシリーズと比べると、少ないのがわかります。
『スッキリわかる行政書士』の特徴と使い方
『スッキリわかる行政書士』は、”なにがなんでも「60%」をとる”がコンセプトの基本書です。
行政書士試験はほかの試験には見られないユニークな特徴があります。それは、試験問題数と合格基準点がキチンと設定されていることです。試験問題数は記述式も含めて60問で、合格基準点が60%以上(300満点中180点以上)ということです。つまり、満点を取らなくても6割を取れれば全員合格するということです。ほかの試験は明確な合格基準が決められていないこともありますから、受験生は合格するために果てしなく勉強しなければなりません。いくらやっても足りない気がするのです。しかし、6割でいいというのなら、それ以上する必要はありません。確実に6割を取れる程度の勉強でいいのです。
本書は、合格点である6割を目指すので、本試験問題を「基礎的問題」「応用問題」「難問」に分けたうち、「基礎的問題」と「応用問題」を取るための学習をします。
ただ、基本書のようにA〜Cランクを網羅しているわけではなく、反対にまとめ本のように重要論点についてコンパクトにしているわけでもないので、使い方はけっこう人を選ぶように感じました。
重要論点について会話口調で読んでいきたいという方は選ぶとよいでしょう。
『スッキリとける行政書士』の特徴と使い方
『スッキリとける行政書士』は、頻出過去問の演習ができる問題集です。基本的には『スッキリわかる行政書士』とセットで使います。
少なくとも現在の受験生は、10年後の合格を目指しているわけではないはずなので、10年に1度しかし出ないような問題はあえて載せていません。現代人は意外と時間がない人が多いので、問題の「量より質で勝負」することに徹しています。合格するのに必要のない勉強は一切しない。最短コースで合格を目指すということです。
本書は、重要度の低い問題は載せていません。重要論点を繰り返し演習して、合格に必要な6割の点数を目指していきます。
『スッキリおぼえる行政書士』の特徴と使い方
『スッキリおぼえる行政書士』は、直前要点整理テキスト(いわゆるまとめ本)です。「理解し→トレーニングし→覚える」という流れで、行政書士試験合格に必要な知識を身につけることができます。
多くのシリーズは、基本書が論点を網羅しており、過去問を解いて演習を積み、最重要なところを本書のようなまとめ本を使って覚えますが、本シリーズは元々6割に絞った論点を基本書で学習し、重要度の高い問題を演習して、6割の部分を暗記していきます。
「行政書士試験は範囲が広くて大変……」という初学者の方だけでなく、「何度か行政書士試験に挑戦しているけれどなかなか結果が出ない……」という中上級者の方も、本シリーズのように6割に絞った学習をするのも良いでしょう。6割に絞るというと響きがよくないですが、基本事項を徹底するというのはとても大切なことなので、実践する価値はあるはずです。
「スッキリ行政書士」のルートまとめ
最後に、「スッキリ行政書士」を活用したルートをまとめます。
- スッキリわかる行政書士
- スッキリとける行政書士
- 記述式・多肢選択式対策
- スッキリおぼえる行政書士
- 年度別過去問
シンプルです。『スッキリわかる行政書士』で学習して、『スッキリとける行政書士』で演習します。記述式・多肢選択式はトレーニングを積んだ方がいいので、適宜問題集を用意するとよいでしょう。ある程度知識が定着してきたら、『スッキリおぼえる行政書士』で重要論点を整理しましょう。
直前期は、本試験問題の形式(科目ごとの出題順など)に慣れておくために、年度別過去問を使うのをおすすめします。各予備校の模擬試験で代替するのもよいでしょう。