国民年金法の被保険者について学習します。
被保険者の資格
次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする(7条1項)。
① 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって次号及び第3号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第1号被保険者」という。)
② 厚生年金保険の被保険者(以下「第2号被保険者」という。)
③ 第2号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であって主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(「被扶養配偶者」という。)のうち20歳以上60歳未満のもの(以下「第3号被保険者」という。)
1号について、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、2号、3号に該当しないものを第1号被保険者といいます。2号及び3号に該当しないものというと難しく感じますが、2号か3号に該当すればそれぞれ2号または3号として扱うということなので、難しく考える必要はありません。カッコ書きとして、「厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者は除く」について、今はまだ学習していませんが、厚生年金保険法で老齢給付等を受けることができる者は、第1号被保険者になりません。
2号について、厚生年金保険の被保険者を第2号被保険者といいます。いわゆる会社員などがこれにあたります。
3号について、第2号被保険者の配偶者であって、被扶養配偶者のうち20歳以上60歳未満のものを第3号被保険者といいます。
資格取得の時期
被保険者は、第1号から第3号までのいずれかに該当するに至った日に、20歳未満の者又は60歳以上の者については第4号に該当するに至った日に、その他の者については同号又は第5号のいずれかに該当するに至った日に、それぞれ被保険者の資格を取得する(8条各号)。
① 20歳に達したとき。
② 日本国内に住所を有するに至ったとき。
③ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者でなくなったとき。
④ 厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき。
⑤ 被扶養配偶者となったとき。
柱書が複雑に感じますが、これらのいずれかに該当すると、第1号から第3号被保険者のいずれかに該当することになるだけなので、難しく考える必要はありません。たとえば、20歳に達したときは、第1号被保険者になります。また、第2号被保険者の扶養配偶者であれば、第3号被保険者になるといった具合です。
資格喪失の時期
被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第2号に該当するに至った日に更に第2号保険者若しくは第3号保険者に該当するに至ったとき又は第3号から第5号までのいずれかに該当するに至ったとき(第4号については、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となったときに限る。)は、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
① 死亡したとき。
② 日本国内に住所を有しなくなったとき(第2号保険者又は第3号保険者に該当するときを除く。)。
③ 60歳に達したとき(第2号保険者に該当するときを除く。)。
④ 厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者となったとき。
⑤ 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したとき(第7条第1項各号のいずれかに該当するときを除く。)。
⑥ 被扶養配偶者でなくなったとき(第1号保険者又は第2号保険者に該当するときを除く。)。
これらのいずれかに該当するに至った日の翌日に被保険者の資格を喪失します。「翌日」という理由は、他の保険法と同じように考えることができます。また、いずれかに該当するに至った日に同時に別の号の被保険者に該当するに至ったなどのときは、期間が重複しないように「その日」に資格を喪失する点も同じように考えることができます。資格取得と資格喪失を暗記するのではなく、被保険者の資格(7条1項)を理解記憶するようにしましょう。
被保険者期間の計算
被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までをこれに算入する(11条1項)。
被保険者がその資格を取得した日の属する月にその資格を喪失したときは、その月を1箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない(11条2項)。
被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する(11条3項)。
第1号被保険者としての被保険者期間、第2号被保険者としての被保険者期間又は第3号被保険者としての被保険者期間を計算する場合には、被保険者の種別に変更があった月は、変更後の種別の被保険者であった月とみなす。同一の月において、2以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、その月は最後の種別の被保険者であった月とみなす(11条の2)。
被保険者期間は、健康保険法と同じように考えることができます。
届出
被保険者(第3号被保険者を除く。次項において同じ。)は、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない(12条1項)。
被保険者の属する世帯の世帯主は、被保険者に代って、届出をすることができる(12条2項)。
住民基本台帳法の規定による届出があったときは、その届出と同一の事由に基づく届出があったものとみなす(12条3項)。
市町村長は、届出を受理したときは、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣にこれを報告しなければならない(12条4項)。
第3号被保険者は、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であって厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない(12条5項)。
前項の届出は、厚生労働省令で定める場合を除き、第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を使用する事業主を経由して行うものとし、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者にあっては、その配偶者である第2号被保険者を組合員又は加入者とする国家公務員共済組合、地方公務員共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団を経由して行うものとする(12条6項)。
第2号被保険者を使用する事業主は、同項の経由に係る事務の一部を当該事業主が設立する健康保険組合に委託することができる(12条7項)。
第3号被保険者であった者は、第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなったことについて、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない(12条の2)。
3項について、住所変更などについては届出をする必要がありますが、住民基本台帳法の規定による届出(転入届、転居届、転出届等)、があったときは、その届出と同一の事由に基づく届出があったものとみなされるため、届出をする必要はありません。
6項について、今の段階では学習していないので、厚生年金保険法で定められている各実施機関を経由して行うということがわかれば問題ありません。
12条の2について、第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなったことについて、年金関連の別の届出で事実が把握できるとき、たとえば、配偶者である第2号被保険者が退職をした場合や本人である第3号被保険者が就職した場合などは、資格喪失届や資格取得届を提出することで事実を把握できるので、届出は不要です。一方、離婚をした場合や本人の収入が増加して被扶養配偶者に該当しなくなった場合は、事実を把握できないため、届出をする必要があります。
届出は、「当該事実があった日から14日以内」にという期間が問われるので確認しておきましょう。
- 資格取得の届出(規則1条の4)
- 資格喪失の届出(規則3条)
- 死亡の届出(規則4条)
- 被保険者の種別変更の届出(規則6条の2)
- 被扶養配偶者でなくなったことの届出(規則6条の2の2)
- 氏名変更の届出(7条)
- 住所変更の届出(8条)
日本国籍を有し、日本国内に住所を有しない国民年金の任意加入被保険者に係る諸手続の事務は、国内に居住する親族等の協力者がいる場合は、協力者が本人に代わって行うこととされており、その手続きは、本人の日本国内における最後の住所地を管轄する年金事務所又は市町村長(特別区の区長を含む。)に対して行うこととされている(昭61.4.1庁保険発19号)。
国民年金原簿
訂正の請求
訂正に関する方針
訂正請求に対する措置
厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨を決定しなければならない(14条の4第1項)。
厚生労働大臣は、前項の規定による決定をする場合を除き、訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をしない旨を決定しなければならない(14条の4第2項)。
厚生労働大臣は、決定をしようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない(14条の4第3項)。
被保険者に対する情報の提供