国民年金法の総則について学習します。国民年金法は、全10章で構成されています。今回は、このうち全体について定めている総則を見ていきましょう。
国民年金制度の目的
日本国憲法25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」は有名なので、知っている方が多いと思いますが、2項を知っている方は少ないと思います。2項は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定めており、この理念に基づき、国民年金制度がつくられています。
国民年金の給付
国民年金制度は、老齢、障害、死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止することから、老齢、障害、死亡に関して必要な給付を行います。
管掌
国民年金事業は、政府が、管掌する(3条1項)。
国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、法律によって組織された共済組合(以下単に「共済組合」という。)、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団(以下「共済組合等」という。)に行わせることができる(3条2項)。
国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が行うこととすることができる(3条3項)。
国民年金事業は、政府が管掌します。そして、事務の一部を共済組合等や市町村長が行うこととすることができるようになっています。
年金額の改定
財政の均衡
財政の現況及び見通しの作成
政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない(4条の3第1項)。
財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする(4条の3第2項)。
政府は、財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない(4条の3第3項)。
政府は、少なくとも5年ごとに財政の現況及び見通しを作成し、公表しなければなりません。そして、この財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とします。
以下、用語の定義がありますが、今の段階で定義を覚えても丸暗記になってしまうので、制度がでてきたときに合わせて理解記憶していきましょう。
参考:国民年金|日本年金機構
「保険料納付済期間」とは、被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料に係るもの及び納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、厚生年金保険の被保険者としての被保険者期間並びに第三号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう(5条1項)。
「保険料免除期間」とは、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を合算した期間をいう(5条2項)。
この法律において、「保険料全額免除期間」とは、第1号被保険者としての被保険者期間であって納付することを要しないものとされた保険料に係るもののうち、納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう(5条3項)。
この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする(5条7項)。