※現在リライト中です
雇用保険法の失業等給付から短期雇用特例被保険者の求職者給付について解説します。高年齢被保険者のときと同じように、一般被保険者とはどのように異なるか押さえていきましょう。
短期雇用特例被保険者
・被保険者であって、季節的に雇用されるもののうち次の各号のいずれにも該当しない者(日雇労働被保険者を除く。以下「短期雇用特例被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、特例一時金を支給する(38条1項各号、告示)。
① 4箇月以内の期間を定めて雇用される者
② 1週間の所定労働時間が20時間以上であって厚生労働大臣の定める時間数[30時間未満]である者
「いずれにも該当しない者」ということで少し理解しにくいと思います。まず、短期雇用特例被保険者は、季節的に雇用されるものが対象となります。ただ、その期間が4箇月以内の場合や20時間以上であって30時間未満の場合は除かれます。
「20時間以上であって30時間未満」という表現がわかりづらいと思います。1週間の所定労働時間が20時間未満というのは、そもそも適用除外となっているため(6条1号)、20時間以上とされています。そして、20時間以上であっても30時間未満の場合は適用除外とされています。
つまり、かんたんにいうと半年くらい(5箇月以上)の季節的にフルタイムで働いている方が短期雇用特例被保険者になるということです。冬季の出稼ぎ労働者などが考えられます。
なお、適用除外のところで、「季節的に雇用される者であって、第38条第1項各号のいずれかに該当するもの」というものがありました(6条3号)。いずれにも該当しないものは、短期雇用特例被保険者になるので、いずれかに該当するものは適用除外となります。
参考:平成二十二年厚生労働省告示第百五十四号(雇用保険法第三十八条第一項第二号の規定に基づく厚生労働大臣の定める時間数
特例受給資格
・特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合において、離職の日以前1年間(当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった短期雇用特例被保険者である被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかった日数を1年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間))に、被保険者期間が通算して6箇月以上であったときに、支給する(39条1項)。
→高年齢被保険者と同じです。一般被保険者の基本手当の原則が、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12箇月以上であったことと比較しておきましょう。
同一暦月においてAの事業所において賃金支払の基礎となった日数が11日以上で離職し、直ちにB事業所に就職して、その月に賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある場合でも、被保険者期間2か月として計算するのでなく、その日数はその暦月において合計して計算されるのであり、したがって、被保険者期間1か月として計算する(行政手引55104)。
当該6か月間に疾病又は負傷等により職業に就くことができない期間があっても受給期限の延長は認められない(行政手引55151)。
特例一時金
・特例一時金の額は、特例受給資格者を受給資格者とみなしてその者に支給されることとなる基本手当の日額の30日分(当分の間、40日分)(認定があった日から期間の最後の日までの日数が30日に満たない場合には、その日数に相当する日数分)とする(40条1項、附則8条)。
→受給資格者とみなすこと、最後の日までの日数が所定日数に満たない場合の部分については、高年齢被保険者のところで解説しているので割愛します。特例一時金の額は、基本手当の日額の30日分(当分の間、40日分)という点を押さえておきましょう。
・特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して6箇月を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない(40条3項)。
特例一時金は、特例受給資格者が当該特例一時金に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給しない(40条4項、21条)。
→高年齢被保険者が1年を経過する日までとなっていたことと比較しておきましょう。また、一般被保険者も支給の期間が原則1年なので、特例受給資格者は6箇月と短いと記憶するのをおすすめします。
公共職業訓練等を受ける場合
・特例受給資格者が、当該特例受給資格に基づく特例一時金の支給を受ける前に公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等(その期間が政令で定める期間に達しないものを除く。)を受ける場合には、特例一時金を支給しないものとし、その者を受給資格者とみなして、当該公共職業訓練等を受け終わる日までの間に限り、求職者給付を支給する(41条1項)。
→特例一時金は30日分(当分の間、40日分)と短くなっています。しかし、これでは、公共職業訓練等を受けている間に支給分が尽きてしまい、「労働者の能力の開発及び向上」(1条)という雇用保険法の目的のひとつが果たせなくなってしまいます。そこで、公共職業訓練等を受ける場合は、特例一時金を支給せず、その者を受給資格者とみなして(つまり、一般被保険者とみなすということです)、求職者給付を支給します。