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徴収法の労働保険事務組合について解説します。
労働保険事務組合
事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる(33条1項)。
事業主の団体又はその連合団体は、業務を行なおうとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(33条2項)。
労働保険事務組合は業務を廃止しようとするときは、60日前までに、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない(33条3項)。
厚生労働大臣は、労働保険事務組合が労働保険関係法令の規定に違反したとき、又はその行うべき労働保険事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、認可を取り消すことができる(33条4項)。
事業協同組合等は、事業主等の委託を受けて、労働保険料の納付など労働保険事務を処理することができます。小さな会社が自分のところで労働保険事務を行うのは大変なので、労働保険事務を委託できるようになっているということです。事業協同組合等が業務を行おうとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。この認可を受けた事業主の団体等を「労働保険事務組合」といいます。
労働保険事務組合に委託できる事業主は、一定の制限があります。
読みにくいので整理しましょう。
- 金融業、保険業、不動産業、小売業:50人を超える
- 卸売業、サービス業:100人を超える
- その他の事業:300人を超える
かんたんにいうと、一定の数を超える数の労働者を使用する事業主は、労働保険事務組合に委託せず、自分のところで労働保険事務をしましょうということです。
使用する労働者数が臨時に増加し一時的に300人を超えることとなった場合でも、常態として300人以下であれば労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託することができる(平25.3.29基発0329第7号)。
また、括弧書きとして、「印紙保険料に関する事項」が除かれている点に注意しましょう。
労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主は、当該労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所をもつ事業の事業主に限られない(平12.3.31発労徴31号)。
認可を受けようとする事業主の団体又はその連合団体は、所定の事項を記載した申請書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない(規則63条1項)。
労働保険事務組合は、労働保険事務の処理の委託があったときは、遅滞なく、所定の事項を記載した届書を、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない(規則64条1項)。
労働保険事務組合は、申請書又は定款等に記載された事項に変更を生じた場合には、その変更があつた日の翌日から起算して14日以内に、その旨を記載した届書をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない(規則65条)。
保険給付に関する請求書等の事務手続及びその代行、雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行、印紙保険料に関する事項などは、事業主が労働保険事務組合に処理を委託できる労働保険事務の範囲に含まれない(平25.3.29基発0329第7号)。
労働保険事務組合に対する通知等
条文だと読みにくいですが、政府が労働保険事務組合にした通知等は、事業主に対してしたものとみなされるということです。
労働保険事務組合の責任等
委託に基づき、事業主が労働保険関係法令の規定による労働保険料その他の徴収金の納付のため、金銭を労働保険事務組合に交付したときは、その金額の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする(35条1項)。
労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする(35条2項)。
政府は、労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、当該労働保険事務組合に対して処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができる(35条3項)。
労働保険事務組合の責任等についてです。事業主が金銭(例:100万円)を労働保険事務組合に交付したときは、その金額(100万円)の限度で、労働保険事務組合は、政府に対して納付の責めに任ずるものとされます。つまり、その金額以上は、労働保険事務組合は責任を負わないということです。
もっとも、政府が追徴金や延滞金を徴収する場合において、労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その責めに帰すべき理由の限度、政府に対して、徴収金の納付の責任を負います。
そして、徴収金は、労働保険事務組合に対して処分をしてもまだ足りないときは、事業主から徴収することができます。
帳簿の備付け
※報奨金 平30-雇10