【司法書士】基本書シリーズの選び方についての考察とレビュー

コラム

今回は、司法書士試験の基本書についてお話したいと思います。

司法書士の基本書は、各予備校または講師から発売されています。どのシリーズを選んでも、合格している人はおり、合格した人は自分の使ったものをおすすめするので、余計に迷ってしまうと思います。最終的には好みになりますが、ここでは、各シリーズの特徴と個人的な意見をお伝えします。

根本正次のリアル実況中継 司法書士 合格ゾーンテキスト

合格ゾーン」シリーズは、LEC専任講師の根本先生による著作です。

  • 根本正次のリアル実況中継 司法書士 合格ゾーン テキスト:全11冊
  • 司法書士 合格ゾーン 過去問題集:全12冊(択一式10冊、記述式2冊)
  • 司法書士 合格ゾーン ポケット判 択一過去問肢集:全8冊

おそらく、最初に本書を手に取った方は多いと思います。私もそうでした。

メリットは、講義口調で書かれているので、とっつきやすい点です。また、過去問題集は、LECさんのものが充実しているので、これを取捨選択しながら使っていくのをおすすめします。取捨選択というのは、過去30年以上のものを収録しているからです。なかには過去問をするほど論点を網羅することができると考える方もいますが、過去問は毎年追加されるものであり、また時間は有限である点を考慮する必要はありそうです。もっとも、特定の思想を批判するつもりはありません。

デメリットは、説明がわかりにくく感じる点が多く、また本シリーズで合格レベルに達するのは難しい点があげられます。あくまで本書を入門書として使い、本シリーズならLECさんの受講を考える、または他のシリーズを検討するというのが現実的な気がします。

山本浩司のautoma system

早稲田セミナー専任講師・山本浩司氏によるオートマシリーズです。司法書士試験を独学する方向けの書籍としては比較的王道といえるものです。

  • 山本浩司のautoma system:全11冊
  • 山本浩司のautoma system オートマ過去問:全9冊
  • 山本浩司のautoma system 新・でるトコ 一問一答+要点整理:全4冊
  • 山本浩司のautoma system premier:全8冊
  • 山本浩司のautoma system オートマ過去問 解法術 択一編
  • 山本浩司のautoma system オートマ過去問 記述式 論点データベース:全2冊
  • 山本浩司のオートマシステム 試験に出るひながた集:全2冊

メリットは、幅広い商品がそろっているところです。基本書と過去問を中心にして、必要に応じて買い足すのがよいと思います。文体は常体と敬体が混ざったものです。意図的だそうですが、それをどうとるかは読む人次第だと思います。

司法書士 スタンダード合格テキスト

早稲田セミナーの「スタンダード」シリーズです。

  • 司法書士 スタンダード合格テキスト:全11冊
  • 司法書士 パーフェクト過去問題集:全12冊

メリットは、条文に沿って進み、クセがなく知識を習得できる点です。予備校の市販本だと、条文のみで趣旨が書かれていないなど、結局講座を受講するしかないといったものが多いですが、本シリーズは、制度の趣旨なども書かれており、とても質が高いように感じます。今となっては、本シリーズを使うのがもっとも良いと感じます。ただ、あくまで今となってはです。

デメリットとして、今となってはとあるように、知識ゼロの状態から本シリーズだと、少しハードルが高く感じる方もいるかもしれない点があります。たとえば、オートマだったり、後述するVマジックなどは、良くも悪くも(私はVマジック大好きです)著者の個性が出ます。一方、スタンダードは、編集部という形で記述されているため、個性はできるかぎり消されています。もっとも、その中でも実務家ならではの視点による解説も記載されているので、そこは素晴らしいと思います。

きちんと腰を据えて学習したいという方にぜひ手にとってもらいたいシリーズです。

森山和正の司法書士Vマジック

LECの森山先生による「Vマジック」シリーズです。私は、森山先生の「ケータイ司法書士」講座を受けていたので、なじみのあるシリーズです。

  • 森山和正の 司法書士Vマジック:全8冊

メリットは、森山先生の講義が再現されている点です。講義を受けたことがある方はわかると思いますが、法律初学者の方でも入りやすく、かつ、到達点も高いのが素晴らしいと思います。ここまでムダがなく、面白くできるのだなと思います(直前期に動画でギャグを披露するくらいでしょうか/笑)。

司法書士試験は、学習期間が長く続きます。勉強のモチベーションもそうですが、講師との相性も大切です。人気とされているシリーズでも、どこか人を見下したり、成金のような雰囲気が伝わってくると、私は使いたいと思いませんでした。森山先生の講義は、和やかな雰囲気で、本シリーズ以外の著作においても人柄が伝わり、本当にお世話になった先生でした。

デメリットは、Vマジックシリーズはそれなりの量がある点です。文章を読み慣れていないと、理解する前に文章を読むということができないかもしれません。私は「はしがき」のこの部分が好きです。

昨今は、「ですます調」を用いてわかりやすさ・取っつきやすさを演出する向きも多いようですが、本シリーズでは、あえて書き言葉の「である調」を用いました。一見、「ですます調」のほうがわかりやすく見えますが、本試験においては「である調」の問題文と対峙することになります。普段から「である調」の文体で学習をしておけば、文体に慣れていて読みやすいだけでなく、学習した知識と問題文を直接結びつけることができ、合格がぐっと近づくのです。また、精微な論理を理解するには、「である調」のほうが向いています。

私も同じように感じます。もっとも、このあたりも「自分は違う」という方もいらっしゃると思いますし、誰かが強制するところではないと思うので、自分に合ったものを選べばよいと思います。

なお、本シリーズは、テキストのみです。過去問は、「合格ゾーン」などを使いましょう。暗記本として、「ケータイ司法書士」が良書なので、これと合わせて活用するのをおすすめします。

司法書士試験 リアリスティック

辰巳法律研究所の松本 雅典氏による「リアリスティック」シリーズです。オートマ、Vマジックに続く、独学向けのシリーズといえます。なお、先人として、早稲田セミナーの竹下先生の「デュー・プロセス」シリーズもありますが、こちらは発売が終了されたそうなので、ここでは扱いません。

  • 司法書士試験 リアリスティック:全13冊
  • 司法書士 リアリスティック不動産登記法 記述式
  • 司法書士 リアリスティック商業登記法 記述式

メリットは、比較的記述式の書籍にも力を入れている点です。なお、文章は敬体(です・ます調)なので、敬体の文章で読みたい方はよいと思います。

デメリットは、強いて言えば、「5ヶ月合格法」というものに焦点が合っている点です。また、過去問は、ひたすら解いて論点をカバーするといったものです。もちろん、それは悪くはないと思いますが、増える過去問と限りある時間を考えると、自分にはちょっと難しいように感じました。

まとめ

司法書士試験の基本書は各社から発売されています。あくまで個人的な意見になりますが、「スタンダード」「Vマジック」あたりがおすすめです。他の法律系資格試験と比較して、司法書士試験向けの基本書は、著者の色が強いように感じるので、自分に合ったものを選んでみましょう。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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