民事保全法の総則について解説します。今回から民事保全法に入ります。民事保全法は、全5章で構成されています。条文を読み進める中で、民事保全法がどのようなものか押さえていきましょう。
趣旨
ここで、民事保全には、権利の実現を保全するための①仮差押え、②係争物に関する仮処分、そして、権利関係につき③仮の地位を定めるための仮処分があることがわかりました。具体的な手続等については、条文を見ながら確認していきましょう。
参考:民事保全 | 裁判所
民事保全の機関及び保全執行裁判所
民事保全の命令(以下「保全命令」という。)は、申立てにより、裁判所が行う(2条1項)。
民事保全の執行(以下「保全執行」という。)は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う(2条2項)。
裁判所が行う保全執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもって、執行官が行う保全執行の執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもって保全執行裁判所とする(2条3項)。
民事執行法のときも、執行処分を行うべき裁判所を「執行裁判所」としました。民事保全法も、保全の執行処分を行うべき裁判所を「保全執行裁判所」としています。
任意的口頭弁論
民事保全は、通常の民事訴訟をしていたのでは間に合わないときにします。そのため、民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができるとされています。
担保の提供
専属管轄
民事保全法も、管轄は専属となっています。具体的な管轄はこのあと見ていきましょう。
民事訴訟法の準用
民事執行法のときと同じように、民事保全法でも民事訴訟法第1編から第4編までの規定を準用しています。このことから、民事訴訟法とはまったく別のものと考えるのではなく、民事訴訟のうち、保全の必要性が高いものに関しては、民事保全法を使って別の手続ができると考えるとわかりやすいと思います。