【会社法】募集株式の発行等について、②募集株式の割当てのまとめ

会社法

会社法の株式会社の株式の募集株式の発行等から募集株式の割当てについて学習します。

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募集株式の割当て

株式会社は、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、申込者が引き受けようとする募集株式の数よりも減少することができる(204条1項)。

募集株式が譲渡制限株式である場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(同条2項)。

株式会社は、期日(期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければならない(同条3項)。

株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が期日までに申込みをしないときは、当該株主は、募集株式の割当てを受ける権利を失う(同条4項)。

このあたりは、募集設立のときと同じように考えることができます。

募集株式の申込み及び割当てに関する特則

前2条の規定[募集株式の申込み、募集株式の割当て]は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない(205条1項)。

前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(同条2項)。

特定の引受人が総数引受契約を締結する場合は、別途契約をすることになるので、申込みや割当ての規定は適用しません。なお、本試験対策として、申込み(203条)については省略しています。

総数引受契約を締結する場合、募集株式が譲渡制限株式であるときは、適正な引受人と契約を締結してもらうために株主総会の決議等による承認が必要になります。

公開会社における募集株式の割当て等の特則

公開会社は、募集株式の引受人について、第1号に掲げる数の第2号に掲げる数に対する割合が2分の1を超える場合には、期日(期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の2週間前までに、株主に対し、特定引受人の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についての第1号に掲げる数その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合又は株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない(206条の2第1項)。
① 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
② 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数

前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる(同条2項)。

総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が通知又は公告の日から2週間以内に特定引受人による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の総数引受契約の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない(同条4項)。

前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない(同条5項)。

206条の2は、公開会社における募集株式の割当て等の特則について定めたものです。具体的には、募集株式の引受人が、総株主の議決権の数の2分の1を超える場合、つまり、支配株主が変わる場合は、株主に対し、この特定引受人の氏名等を通知する必要があります。ただし、特定引受人が親会社である場合はすでに支配されており、株主割当ての場合も比率は変わらないため、通知する必要はありません。

総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が反対したときは、株式会社は、株主総会の決議によって、総数引受契約の承認を受けなければなりません。会社の支配株主が変わることから、株主の意見を聞く必要があるということです。この株主総会の決議の要件は、普通決議とほぼ同じですが、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を3分の1未満に減らすことはできません。これは、役員等の選任・解任の決議要件と同じです。2分の1以上の議決権を持つということは、役員等の選任・解任ができるということなので、この時点で他の株主の意見を聞こうということです。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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