民事訴訟法の訴訟費用について解説します。訴訟費用は、原則として敗訴の当事者が負担する、ただし、例外として不必要な行為があったり、訴訟を遅滞させた場合は、勝訴の当事者であっても負担をすることがあるという価値判断を持っておくと理解しやすいと思います。
総則>訴訟費用
第1節 訴訟費用の負担
訴訟費用の負担の原則
訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする(61条)。
参考:訴訟費用について | 裁判所
不必要な行為があった場合等の負担
裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる(62条)。
訴訟を遅滞させた場合の負担
当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる(63条)。
訴訟費用は、原則、敗訴の当事者の負担となりますが、不必要な行為や訴訟を遅滞 させた場合は、勝訴の当事者に訴訟費用の全部または一部を負担させることができます。不必要な行為や訴訟の遅滞を抑止するとともに、これらの行為をした者に対するペナルティです。
訴訟費用の負担の裁判
裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる(67条1項)。
和解の場合の負担
当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する(68条)。
和解の場合は、費用は各自が負担というのがポイントです。訴訟費用は、原則、敗訴の当事者の負担となりますが、和解の場合は引き分けのようなものなので、各自が負担と考えるとわかりやすいと思います。なお、各自が負担するのであって、等分するわけではないので注意しましょう。
たとえば、Aさんが30万円、Bさんが70万円の費用がかかった場合、その費用は各自で負担します。仮に等分するとなると、30万円+70万円=100万円を等分して、各自が50万円になります。この違いのイメージを押さえておきましょう。
第2節 訴訟費用の担保
※省略
第3節 訴訟上の救助
救助の付与
訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る(82条1項)。