民事訴訟法の上告について解説します。今回は、控訴審の終局判決に対する上訴である上告です。試験対策として、それほど問われる部分ではないので、控訴と併せて条文を押さえておきましょう。
上告裁判所
民事訴訟の場合、上告裁判所が分かれます。高等裁判所が第2審としてした終局判決というのは、第1審が地方裁判所なので、わかりやすいと思います。高等裁判所が第1審というのは、たとえば、選挙又は当選の効力に関する訴訟等があります(公職選挙法204条ほか)。
衆議院議員又は参議院議員の選挙において、その選挙の効力に関し異議がある選挙人又は公職の候補者は、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあっては当該選挙に関する事務を管理する都道府県の選挙管理委員会を、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙にあっては中央選挙管理会を被告とし、当該選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴訟を提起することができる(公職選挙法204条)。
地方裁判所が第2審というのは、簡易裁判所が第1審の場合です。この場合、簡易裁判所→地方裁判所→高等裁判所のように裁判が進みます。
上告の理由
上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる(312条1項)。
上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる(312条2項本文)。
① 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
② 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
②の② 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
③ 専属管轄に関する規定に違反したこと。
④ 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
⑤ 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
⑥ 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
上告特有のことが問われるとしたら、このあたりではないかと考えられます。ひとつひとつ押さえるというより、憲法の解釈の誤りのほか、裁判官の除斥や専属管轄の規定に違反など、公益に反する場合は上告の対象になるといったイメージを持っておくようにしましょう。
控訴の規定の準用
基本的に控訴の訴訟手続を押さえておきましょう。