民事訴訟法の再審について解説します。再審とは、一定の事由がある場合、確定した終局判決に対し、不服を申し立てることができるものです。確定した終局判決を取り消すほどの重大な瑕疵があるという認識を持っておくと、再審のイメージがしやすいと思います。
再審の事由
次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない(338条1項)。
① 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
② 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
③ 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
④ 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
⑤ 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
⑥ 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
⑦ 証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
⑧ 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
⑨ 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
⑩ 不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
再審の事由について、ひとつひとつを押さえておく必要性は低いですが、代理権の欠缺や関与することができない裁判官が判決に関与した場合、証拠等が偽造や虚偽であるときに再審ができると押さえておきましょう。
管轄裁判所
再審の訴えは、不服の申立てに係る判決をした裁判所の管轄に専属する(340条1項)。
審級を異にする裁判所が同一の事件についてした判決に対する再審の訴えは、上級の裁判所が併せて管轄する(340条2項)。
このあたりは、控訴と同じです。
再審の訴訟手続
再審期間
再審の訴えは、当事者が判決の確定した後再審の事由を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならない(342条1項)。
判決が確定した日(再審の事由が判決の確定した後に生じた場合にあっては、その事由が発生した日)から5年を経過したときは、再審の訴えを提起することができない(342条2項)。
前2項の規定は、第338条第1項第3号に掲げる事由のうち代理権を欠いたこと及び同項第10号に掲げる事由[確定した判決と抵触すること]を理由とする再審の訴えには、適用しない(342条3項)。
再審の訴えは、主観で30日、客観で5年の再審期間が定められています。ただ、代理権を欠いたこと、確定した判決と抵触することを理由とする再審の訴えには、適用しない、つまり、再審期間はないことになります。
不服の理由の変更
再審の訴えの却下等
裁判所は、再審の訴えが不適法である場合には、決定で、これを却下しなければならない(345条1項)。
裁判所は、再審の事由がない場合には、決定で、再審の請求を棄却しなければならない(345条2項)。
ここも控訴と同様で、不適法である場合は却下、再審の事由がない場合は棄却されます。
本案の審理及び裁判
裁判所は、再審開始の決定が確定した場合には、不服申立ての限度で、本案の審理及び裁判をする(348条1項)。
裁判所は、前項の場合において、判決を正当とするときは、再審の請求を棄却しなければならない(348条2項)。
先ほどは、本案が開始するまでの話でした。ここは、再審が開始してからです。判決を正当とするときは、再審の請求は棄却されます。