会社法の株式会社の株式から株主名簿について学習します。
株主名簿
株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない(121条)。
① 株主の氏名又は名称及び住所
② 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
③ 第1号の株主が株式を取得した日
④ 株式会社が株券発行会社である場合には、第2号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
株主名簿記載事項を詳しく覚える必要はありませんが、株式会社は、株主の氏名や住所、株式の数などを記載した株主名簿を作成しなければならないという点をおさえておきましょう。
会社法を学習していると、「記載又は記録」という文言が出てきます。記載というのは、紙に書いたもので、記録とは、電磁的記録(ハードディスクなど)に記録したもの、かんたんにいうと、パソコンで作ったものいうことです。
基準日
株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる(124条1項)。
基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない(124条2項)。
基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない(124条4項)。
株式は転々流通するため、一定の日に株主名簿に記載されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができます。株主総会の議決権や株主優待を考えるとわかりやすいと思います。
また、株式会社は、基準日後に株式を取得した者を権利を行使することができる者と定めることができます。ただし、基準日株主の権利を害することはできません。本来は、基準日株主が権利を行使することができるはずだからです。
株主名簿の備置き及び閲覧等
株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない(125条1項)。
株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない(125条2項)。
① 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
② 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第2項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない(125条4項)。
株主と債権者は、株式会社の営業時間内は、株主名簿の閲覧または謄写の請求をすることができます。一方、親会社社員は、濫用を防ぐため、裁判所の許可が必要になります。会社法において、株主、債権者、親会社社員はセットで出てくることが多いので、余裕があればおさえておきましょう。
株主に対する通知等
株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる(126条1項)。
前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす(126条2項)。
株主に対してする通知または催告は、株主名簿に記載されている住所にすれば足ります。そして、この通知または催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなされます。ここは、民法97条2項も合わせて復習しておきましょう。