会社法の株式会社の株式から株式の併合等について学習します。株式の併合「等」では、株式の併合、株式の分割、株式無償割当てについて見ていきます。それぞれどのようなものか、それは既存株主にとってどのような利益または不利益があるのかを知ると決議要件などが記憶しやすくなります。
第1款 株式の併合
株式の併合
株式会社は、株式の併合をすることができる(180条1項)。
株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない(180条2項)。
① 併合の割合
② 株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)
③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
④ 効力発生日における発行可能株式総数
取締役は、第2項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない(180条4項)。
株式会社は、株式の併合をすることができます。株式の併合により2株が1株などになり、株価をつり上げることができます。ただ、株式の併合をすると、端数の株式しか持っていない、つまり議決権がなくなるという株主が出てくるため、取締役は、株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならず、株主総会の特別決議が必要になります(309条2項4号)。
なお、株主総会で定めなければならない事項については、このような事項を定める必要があるのだという程度で記憶する必要はありません。
反対株主の株式買取請求
反対株主は、株式の一株に満たない端数となるものの全部を買い取ることを請求することができます。
第2款 株式の分割
株式の分割
株式会社は、株式の分割をすることができる(183条1項)。
株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない(183条2項)。
① 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
② 株式の分割がその効力を生ずる日
③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
株式会社は、株式の分割をすることができます。先ほどとは反対に、1株を2株などに分割することにより、株価を下げ、株式の流通性を高めることができます。株式の分割は、既存株主の不利益はないので、株主総会の普通決議でできます(309条1項)。また、取締役による説明も不要です。
先ほどと同じように、株主総会で定めなければならない事項については、参考程度でかまいません。
第3款 株式無償割当て
株式無償割当て
株式会社は、株主に対して株式無償割当てをすることができます。株式無償割当てによって、株価が下がり、株式分割と同様の効果が生じます。
株式無償割当てに関する事項の決定
① 株主に割り当てる株式の数又はその数の算定方法
② 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日
③ 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類第1項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(186条3項)。
株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、一定の事項を定めなければなりません。株式無償割当ては、株式分割と同じように、株主に不利益はないため、普通決議等で決議できるようになっています(309条1項)。
まとめ
株式の併合、株式の分割、株式無償割当てについて見てきました。最後に、決議要件をまとめておきましょう。既存株主にとって不利益になるときは特別決議、そうでない場合は普通決議になっているのがわかります。