行政法の行政作用について学習します。今回から行政作用法に入ります。行政組織法は、行政法のうち「誰が」の部分にあたりました。行政作用法は、「何をするか」にあたります。今回は、行政作用にはどのようなものがあるか、全体像をみてみましょう。
行政立法
行政立法とは、行政機関によって定立される規範のことをいいます。国会が法律をつくり、それを運用するために、行政機関が具体的な規範をつくります。もっとも、行政機関が無制限に規範をつくってよいわけではありません。そこで、行政立法にはどのような種類があるのか、どのような制限があるのかなどについて学習します。
行政行為
行政行為は、行政庁が私人に対して 公権力を行使する場面において、一方的になされる行為です。行政作用においてもっとも重要になるのが、行政行為です。行政行為にはどのような種類があるのか、どのような効力があるのか、行政行為に瑕疵があった場合どのようになるのかなどについて学びます。
行政裁量
行政裁量とは、法律が、行政機関に判断余地(裁量)を与え、行政機関に一定の自由を認めているものをいいます。もっとも、裁量は無制限ではないため、どのような裁量があるのか、裁量の範囲を超えているかはどのように判断するのかなどについて学びます。
行政契約
行政契約とは、行政主体等が締結する契約をいいます。行政主体もパソコンなどを買ったりする必要があります。もっとも、公金支出を伴うなどの場合、一定の制約があります。行政契約はどのようなものか、どのようなルールがあるのかなどについて学習します。
行政指導
行政指導とは、行政機関が任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するために特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号9)。行政指導にはどのような類型があるのかなどについて学習します。
行政計画
行政計画とは、ある種の時間軸のもとに目標を設定し、政策手段を動員する構造を有するものをいいます。都市計画などを想像するとわかりやすいと思います。行政作用法では、行政計画とはどのようなものかを学習します。
行政調査
行政調査とは、行政機関が、行政目的を達成するために必要な情報を収集する活動をいいます。行政調査にはどのような種類があるのか、どのようなことが問題となるのかなどについて学習します。
行政上の義務履行確保
行政上の義務履行確保とは、私人に課せられた義務の履行を確保するために、行政自身が一定の強制手段をとることをいいます。たとえば、行政行為として、税金を納めることを法律で規定したとしても、私人がそれを履行しなければ意味がありません。そこで、税金を納めるという義務を履行しない者がいる場合、行政が強制徴収という形で強制的に税金をとることができるようになっています。行政上の義務履行確保では、このようなことを学習します。
行政罰
行政罰とは、行政上の義務の不履行に対する制裁です。たとえば、道路交通法違反に対する反則金は、行政罰としてどのようなものになるのか、どのような手続があるのかなどについて学習します。
まとめ
行政作用の全体像についてみてきました。行政作用法では、これらについてひとつずつ学習します。行政作用法は、今何を学習しているのかがわからなくなってしまいやすい部分のひとつです。そのようなときは、行政法の全体の中で、今はどの部分にいるのか基本書の目次に戻って確認するようにしましょう。