【民法】占有権の効力について、果実の取得や占有の訴えなどのまとめ

民法
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民法の物権の占有権から占有権の効力について学習します。

民法>物権>占有権>占有権の効力

占有物について行使する権利の適法の推定

占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する(188条)。

 

善意の占有者による果実の取得等

善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する(189条1項)。

本権があるものと誤信している占有者は、占有物から生ずる果実を取得します。

悪意の占有者による果実の返還等

悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う(190条1項)。

本権がないことを知っている占有者は、果実を返還し、かつ、消費等をした果実の代価を償還する義務を負います。

占有者による損害賠償

占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない(191条)。

悪意の占有者は全部の賠償をする義務を負う、善意の占有者は現に利益を受けている限度において賠償する義務を負います。悪意と善意で責任の程度が異なる点を比較しましょう。

占有者による費用の償還請求

占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する(196条1項)。

占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる(196条2項)。

まず、占有者が占有物を返還する場合、その物の保存のために支出した金額等を返してもらうことができます。必要費は返してもらえるということです。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費を返してもらうことができません。本来、回復者が取得するはずであった果実を占有者が取得しているのだから、必要費は占有者が負担しましょうということです。

次に、占有者が有益費を支出したときは、その価格の増加が現存する場合に限り、その支出した金額又は増価額を返してもらうことができます。

ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、償還について相当の期限を与えることができます。本権がないことを知っていた占有者が有益費を支出し、その価格を返してもらうまで物を返さないということを防ぐために、返済期限を先にすることができるということです。そうすることによって、回復者は、物を返してもらったうえで、3か月後などに有益費分を返還すればよいことになります。

占有の訴え

占有者は、次条から第202条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする(197条)。

占有者は、占有権に基づいて、一定の場合に占有の訴えを提起することができます。どのような場合に訴えを提起することができるかみていきましょう。

占有保持の訴え

占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる(198条)。

1つめに、占有を妨害されたとき、妨害の停止及び損害の賠償を請求することができます。

占有保全の訴え

占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる(199条)。

2つめに、占有を妨害されるおそれがあるときは、妨害の予防または損害賠償の担保を請求することができます。占有保全の訴えは、保全をすればよいので、妨害の予防又は損害賠償の担保といったように「又は」である点に注意しましょう。

占有回収の訴え

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる(200条1項)。

占有を奪われたときは、その物の返還及び損害の賠償を請求することができます。

占有の訴えの提起期間

占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後1年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から1年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない(201条1項)。

占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する(201条2項)。

占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない(201条3項)。

妨害をされたり、占有を奪われたときは、原則としてその時から1年以内に訴えを提起する必要があります。もっとも、占有保全の訴えは、占有を妨害されるおそれがある状態が続いている間は、訴えを提起することができます。占有保持の訴えと占有保全の訴えは、工事によりその原因が生じたときは、工事に着手した時から1年を経過した時、または工事が完了したときは、訴えを提起することができません。事実状態を保護する必要性が高いからと考えることができます。

占有回収の訴えは、工事の文言がないので難しく感じる方もいるかもしれません。占有回収の訴えは、窃盗の場合などです。そうすると、工事があてはまらないことがわかると思います。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好き】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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東京都生まれ。沖縄県在住。主に行政書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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