行政書士試験に合格するまでの勉強時間は、大体500〜1,000時間があげられます。「自分なら500時間でいけるはず」と自信たっぷりに考える方もいれば、「自分は1,000時間だろうな」と慎重に考える方、「平均の750時間くらいかな」と考える方もいると思います。
そして、「正直、所要時間に幅がありすぎて判断に迷う」という方が多いのではないでしょうか。500時間というと、宅建試験がまるまるひとつ収まってお釣りがくるくらいに相当します。
しかし、これは仕方ないことだと思います。行政書士試験の勉強を始めるにあたってのスタートラインも違えば、勉強の内容も異なるからです。
スタートラインはそれぞれ違う
「さて、勉強を始めよう」と思ったときのスタートラインはそれぞれ違います。
経験者は有利
まず、法学部出身の方は、条文を読むことに抵抗がないでしょうからプラス要因に働きます。また、公務員試験、法律系資格試験、宅建試験などの勉強をしたことがある方も親和性は高くなります。
ただし、法学部出身といっても、学んでいた内容は人それぞれ異なります。自分が何を学んでいたかはご自身がいちばんわかっていると思いますが、行政書士試験にあまり関係がないことを学んでいた方は、条文アレルギーはないけれど、基本未経験者と同じくらいの謙虚さを持つと良いでしょう。
公務員試験や法律の知識を必要とする資格の勉強をしていた方は、その科目については学習する時間を減らすことができます。個人的な経験だと、宅建を学んだ方は民法を勉強していますが、行政書士試験で求められるレベルはもう少し高いものが求められます。
未経験者はこれから
一方、これらの経験がない方はほぼゼロからのスタートになります。だからといって他人を羨む必要はありません(あなたは別の経験を得ているはずです)。最初はみんなゼロからのスタートです。
一般的に言われている時間数の下限ではなく、上限を目安に考えると良いでしょう。もっとも、合格に必要な時間は、後述する「質」も大きく影響してきます。
今の自分のスタートラインを知る
大切なのは、法律を勉強した経験がある方もない方も「今の自分のスタートライン」を知ることです。そうすることで、行政書士試験に合格するために必要な時間の大体の目安が見えてきます。
勉強の量と質について
よく「量と質は比例する」と言われます。
行政書士試験の勉強において、量は「勉強時間」にあたります。質は「勉強内容」ですが、これは方法やモチベーション(密度とも言い換えられそうです)のふたつに分けられることもあります。
量とは「時間」
時間は誰にでも平等に24時間あり、ここから睡眠や仕事の時間を引いた「可処分時間」のうちの一部を勉強に使うことができます。質が同じ場合、勉強に使える時間が多いほど、合格に近づきます。
参考までに、1日のスキマ時間が10分〜60分あると、1年間で60〜365時間になります。
質とは「内容」
先ほど、勉強に使える時間が多いほど、合格に近づくと書きました。ただし、これは「質が同じ場合」です。どんなに勉強時間が長くても、勉強する方向がそっぽを向いていたり(たとえばきれいなまとめノートを作ることに注力してしまったり)、集中していなければ効果は下がります。
反対に勉強に使える時間が短くても、インプットとアウトプットを意識していたり、記憶に必要な反復をしていたり、勉強に集中している方は質が高いといえます。
量と質のバランスが大切
勉強の量と質は同じくらい大切なものです。勉強の量(時間)が多くても、勉強の質(内容)が見合っていなければ合格には近づきませんし、反対にどんなに勉強の質(内容)が良くても、量(時間)が足りていなければ、やはり合格することはできません。
「どちらが大切か」と極端に考えることはせず、可処分時間から勉強時間を捻出する、その時間内で質の高い勉強をするように心がけるようにしましょう。
まとめ
行政書士試験における勉強時間について見てきました。合格するためにどのくらいの時間がかかるかは人によって異なります。まずは、自分がどのくらいの場所からスタートするのかを把握する、そして、自分が勉強できる時間を見つけ、質を伴いながら一歩ずつ進んでいきましょう。