請負契約

建設業の請負契約における元請負人の義務

建設業の請負契約では,元請負人が優位になりやすいため,元請負人に一定の義務が課せられています。なお,違反な行為を下請負人が国土交通大臣等に通報したことを理由として,下請負人に対して,取引の停止など不利益な取り扱いをしてはならないと規定されています。

下請負人の意見の聴取

元請負人は,下請負人に施工させるにあたり,次の事項を定めようとするときは,あらかじめ,下請負人の意見をきく必要があります。

  • 工程の細目
  • 作業方法
  • その他元請負人において定めるべき事項

下請代金の支払

元請負人は,請負代金の出来形部分に対する支払,工事完成後における支払を受けたときは,下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を,当該支払を受けた日から1か月以内で,かつ,できる限り短い期間内に支払わなければなりません。

また,この場合,下請代金のうち労務費に相当する部分については,現金で支払うよう適切な配慮をしなければなりません。

元請負人は,前払金の支払を受けたときは,下請負人に対して,前払金を支払うよう適切な配慮をしなければなりません。

検査及び引渡し

元請負人は,下請負人から建設工事が完成した旨の通知を受けたときは,通知を受けた日から20日以内で,かつ,できる限り短い期間内に,確認の検査を完了させなければなりません。

また,元請負人は,完成を確認した後,下請負人が申し出たときは,直ちに,当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければなりません。これは,下請負人に必要以上に管理責任を負わせること,下請代金の支払遅延を防止するために規定されています。

特定建設業者の義務

特定建設業者の義務

下請代金の支払期日等

特定建設業者は,下請負人の申出の日から起算して50日以内に支払期日を定め,下請代金を支払わなければなりません。定められていないときは,申出日が支払期日とみなされます。

下請負人に対する特定建設業者の指導等

特定建設業者は,下請負人が,建設業法等に違反しないよう,下請負人の指導に努めなければなりません。特定建設業者は,下請負人が法令違反をしていると認めた場合は,違反事実を指摘して是正を求め,是正しないときは,国土交通大臣等に,速やかに通報しなければなりません。

施工体制台帳及び施工体系図の作成等

特定建設業者は,下請契約の請負代金の総額4000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になるときは,施工体制台帳を作成し,工事現場ごとに備え置く必要があります。

下請負人は,請け負った建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは,特定建設業者に対して,再下請負通知書を提出しなければなりません。

特定建設業者は,各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し,これを当該工事現場の見やすい場所に掲げておく必要があります。

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