健康保険法の保険給付から療養の給付及び入院時食事療養費等の支給について学習します。
第2節「療養の給付及び入院時食事療養費等の支給」は全4款で構成されています。
- 第1款:療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費の支給
- 第2款:訪問看護療養費の支給
- 第3款:移送費の支給
- 第4款:補則
まずは、普段の生活でもっとも実感がわきやすい療養の給付から見ていきましょう。
目次
第1款 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費の支給
療養の給付
被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う(63条1項)。
① 診察
② 薬剤又は治療材料の支給
③ 処置、手術その他の治療
④ 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
診察等は、私たちが普段、病院に行って診察を受けたり薬を処方してもらったりするのを想像するとわかりやすいと思います。
次に掲げる療養に係る給付は、前項の給付に含まれないものとする(63条2項)。
① 食事の提供である療養であって前項第5号に掲げる療養と併せて行うもの(療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者(以下「特定長期入院被保険者」という。)に係るものを除く。以下「食事療養」という。)
② 次に掲げる療養であって前項第5号に掲げる療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者に係るものに限る。以下「生活療養」という。)
イ 食事の提供である療養
ロ 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
③ 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(次号の患者申出療養を除く。)として厚生労働大臣が定めるもの(以下「評価療養」という。)
④ 高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(以下「患者申出療養」という。)
⑤ 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養(以下「選定療養」という。)
食事療養や生活療養などは、第1款の名前である「療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費の支給」が示すように、入院時食事療養費や入院時生活療養費として支給されます。保険給付がされないのではなく、療養の給付には含まれないということです。
療養の給付を受けようとする者は、次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法[被保険者証を提出する方法等](以下「電子資格確認等」という。)により、被保険者であることの確認を受け、同項の給付を受けるものとする(63条3項、規則53条1項)。
① 厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所(病床の全部又は一部を除いて指定を受けたときは、その除外された病床を除く。以下「保険医療機関」という。)又は薬局(以下「保険薬局」という。)
② 特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって、当該保険者が指定したもの
③ 健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局
療養の給付を受けようとする者は、病院等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認や被保険者証を提出する方法などによって、被保険者であることの確認を受け、給付を受けます。
電子資格確認とは、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認をするものです。
被保険者又はその被扶養者において、業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)と疑われる事例で電子資格確認等により、健康保険の被保険者であることの確認を受けた場合、保険者は、被保険者又はその被扶養者に対して、まずは労災保険法に基づく保険給付の請求を促し、健康保険法に基づく保険給付を留保することができる(平25.8.14事務連絡)。
労災保険法に規定する業務災害(労災保険法第7条第1項第1号に規定する、労働者の業務上の負傷、疾病等をいう。)に係る請求が行われている場合であっても、健康保険の保険給付の申請を行うことはできる(平24.6.20事務連絡)。
保険医又は保険薬剤師
保険医療機関又は保険薬局の指定
保険医療機関または保険薬局の指定は、政令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う(65条1項)。
厚生労働大臣は、保険医療機関または保険薬局の指定の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、保険医療機関または保険薬局の指定をしないことができる(65条4項)。
① 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、この法律の規定により保険医療機関又は保険薬局に係る保険医療機関または保険薬局の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。
② 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて指導を受けたものであるとき。
③ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
④ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
⑤ 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が、社会保険各法の定めるところにより納付義務を負う社会保険料について、当該申請をした日の前日までに、これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。
⑥ 前各号のほか、当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。
保険医療機関または保険薬局の指定は、開設者の申請により行います。
地方社会保険医療協議会への諮問
保険医療期間等の指定をしないこととするときなどは、恣意的な判断を防止するため、地方社会保険医療協議会の議を経なければならないとされています。
保険医療機関又は保険薬局の指定の更新
保険医療機関又は保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う(68条1項)。
保険医療機関(病院及び診療所を除く。)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、その指定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に、別段の申出がないときは、同条[65条]第1項の申請があったものとみなす(68条2項)。
保険医療機関又は保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときは、効力を失います。もっとも、指定の効力を失う日前6月から前3月までの間に、別段の申出がないときは、申請があったものとみなされます。
保険医療機関又は保険薬局のみなし指定
保険医又は保険薬剤師の登録
第64条の登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行う(71条1項)。
厚生労働大臣は、前項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第六十四条の登録をしないことができる(71条2項)。
① 申請者が、保険医又は保険薬剤師に係る第64条の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者であるとき。
② 申請者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
③ 申請者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
④ 前3号のほか、申請者が、保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるとき。
保険医又は保険薬剤師の登録の取消しが行われた場合には、原則として取消し後5年間は再登録を行わないものとされているが、過疎地域自立促進特別措置法に規定する過疎地域を含む市町村(人口5万人以上のものを除く。)に所在する医療機関又は薬局に従事する医師、歯科医師又は薬剤師については、その登録の取消しにより当該地域が無医地区等となる場合は、取消し後2年が経過した日に再登録を認めることができる(平10.7.27老発485号)。
一部負担金
保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第76条第2項又は第3項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない(74条1項、令34条1項)。
① 70歳に達する日の属する月以前である場合 100分の30
② 70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く。) 100分の20
③ 70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額[28万円]以上であるとき 100分の30
保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、一部負担金を支払わなければなりません。私たちが窓口で負担する金額の割合です。まず、70歳に達する日の属する月以前である場合は、100分の30(3割負担)です。これを原則としておくとわかりやすいと思います。そして、70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合は100分の20(2割負担)です。ただ、70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合でも、報酬の額が28万円以上ある場合は、100分の30(3割負担)となります。
端数処理についてです。端数処理は、法律によって異なるので、ひととおり学習が終わったあとに整理しましょう。
保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に第74条第1項の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる(75条の2)。
① 一部負担金を減額すること。
② 一部負担金の支払を免除すること。
③ 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
保険者は、一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対しては、減額、免除、猶予などの措置を採ることができます。
療養の給付に関する費用
条文だと難しく感じますが、まず、保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関等に支払います。そして、保険医療機関等は、保険者に療養の給付に要する費用の額(10割)から一部負担金に相当する額(原則3割)を控除した額(原則7割)を請求することができます。
保険医療機関等の指定の辞退又は保険医等の登録の抹消
保険医療機関又は保険薬局は、1月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる(79条1項)。
保険医又は保険薬剤師は、1月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる(同条2項)。
入院時食事療養費
被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する(85条1項)。
入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする(85条2項)。
厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする(85条3項)。
厚生労働大臣は、食事療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない(85条4項)。
病院又は診療所は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない(85条8項)。
先ほど、療養の給付のところで、「次に掲げる療養に係る給付は、前項の給付に含まれないものとする。」とあった入院時食事療養費についてです。入院時食事療養費の額は、食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額から、食事療養標準負担額を控除した額とします。かんたんにいうと、通常の生活をしていてもかかる食費分は負担するということです。
入院時生活療養費
特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する(85条の2第1項)。
入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について食費の基準費用額及び居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「生活療養標準負担額」という。)を控除した額とする(85条の2第2項)。
厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする(85条の2第3項)。
厚生労働大臣は、生活療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない(85条の2第4項)。
入院時生活療養費は、特定長期入院被保険者が、療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について支給されるものです。
特定長期入院被保険者とは、病院等への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者のことをいいます。
65歳以上の方は、長期間入院することが多いため、生活療養標準負担額、つまり、通常の生活をしていてもかかる食費や光熱費分を控除した額が入院時生活療養費として支給されます。
保険外併用療養費
被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する(86条1項)。
保険外併用療養費の額は、第1号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び第2号に掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び第3号に掲げる額の合算額)とする(86条2項)。
① 当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき療養の給付に関する費用から、一部負担金を控除した額
② 当該食事療養につき入院時食事療養費から、食事療養標準負担額を控除した額
③ 当該生活療養につき入院時生活療養費から、生活療養標準負担額を控除した額
療養の給付に出てきた、評価療養、患者申出療養、選定療養について定めています。これらを受けたときは、保険外併用療養費を支給します。
条文がわかりにくいので補則します。評価療養、患者申出療養、選定療養は、療養の給付の対象外、つまり、保険外となります。しかし、「診察」など療養の給付の対象となるものもあります。そこで、当該療養につき、療養の給付(診察など)に関する費用から、一部負担金を控除した額を支給します。そして、評価療養など療養の給付の対象外の部分は自費となります。療養の給付の対象となる部分は支給され、対象とならない部分は自費というように併用するため、保険外併用療養費といいます。
療養費
保険者は、療養の給付等を行うことが困難であると認めるとき、たとえば、被保険者が海外で病院に行くときなどは、療養費を支給します。整理しておくと、療養の給付とは、お金そのものではなく、診察や薬剤の支給のことをいいます(63条1項各号)。この診察等をすることができない場合は、療養費、つまりお金を支給することができるようになっています。ここは、「療養の給付」という概念がわからないと混乱してしまうため、整理しておきましょう。
現に海外に居住する被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主を経由して行うこととされている。また、その支給は、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いて海外の現地通貨に換算され、当該被保険者の海外銀行口座に送金される(昭56.2.25保険発10号、庁保険発2号)。
移送費の支給が認められる医師、看護師等の付添人による医学的管理等について、患者がその医学的管理等に要する費用を支払った場合にあっては、現に要した費用の額の範囲内で、移送費とは別に、診療報酬に係る基準を勘案してこれを評価し、療養費の支給を行うことができる(平6.9.9保険発119号)。
臓器移植を必要とする被保険者がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であり、かつ、当該被保険者が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高い場合には、海外において療養等を受けた場合に支給される療養費の支給要件である健康保険法第87条第1項に規定する「保険者がやむを得ないものと認めるとき」に該当する場合と判断できる(平29.12.22保保発1222第2号)。
義手義足は、療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給されているが、症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用も療養費として支給することは認められない(昭26.5.6保文発1443号)。
単に保険医の診療が不評だからとの理由によって、保険診療を回避して保険医以外の医師の診療を受けた場合には、療養費の支給は認められない(昭24.6.6保文発1017号)。
第2款 訪問看護療養費の支給
訪問看護療養費
被保険者が、厚生労働大臣が指定する者(以下「指定訪問看護事業者」という。)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者[保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士]が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(以下「訪問看護」という。)を行う事業所により行われる訪問看護(以下「指定訪問看護」という。)を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する(88条1項、規則68条)。
前項の訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする(88条2項)。
指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、当該指定訪問看護を受けるものとする(88条3項)。
被保険者が、指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、訪問看護療養費を支給します。
訪問看護を行う者について、看護師のほか、規則で保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士が定められています。本試験で頻出なのでおさえておきましょう。
第3款 移送費の支給
被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費として、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支給する(97条1項)。
前項の移送費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要であると認める場合に限り、支給するものとする(97条2項)。
移送費は、救急車を想像するとわかりやすいと思います。
2項の保険者が必要であると認める場合について
保険者は、被保険者が次の各号のいずれにも該当すると認める場合に移送費を支給する(規則81条)。
① 移送により法に基づく適切な療養を受けたこと。
② 移送の原因である疾病又は負傷により移動をすることが著しく困難であったこと。
③ 緊急その他やむを得なかったこと。
通院や緊急と認められない場合は、移送費の支給の対象とはなりません。
第4款 補則
※省略