【国民年金法】国民年金基金について、種類や給付、連合会の業務などのまとめ

国民年金法
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国民年金法の国民年金基金について学習します。罰則のあとに条文が続くので、最初は違和感がありますが、国民年金基金がどのようなものか見ていきましょう。

第1節 国民年金基金

基金の給付

国民年金基金(以下「基金」という。)は、第1条の目的を達成するため、加入員の老齢に関して必要な給付を行なうものとする(115条)。

第1号被保険者は、厚生年金保険の被保険者と異なり、基礎年金しか受給することができないため、バランスを図るために、国民年金基金制度を設けています。

種類

基金は、地域型国民年金基金(以下「地域型基金」という。)及び職能型国民年金基金(以下「職能型基金」という。)とする(115条の2)。

このあたりは、ひととおり条文を確認しておきましょう。

組織

地域型基金は、第1号被保険者(保険料を納付することを要しないものとされている者、その一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされている者及び農業者年金の被保険者を除く。)であって、基金の地区内に住所を有する者をもって組織する(116条1項)。

職能型基金は、第1号被保険者であって、基金の地区内において同種の事業又は業務に従事する者をもって組織する(116条2項)。

地区

基金の地区は、地域型基金にあっては、一の都道府県の区域の全部とし、職能型基金にあっては、全国とする(118条の2第1項)。

地域型基金は、都道府県につき一個とし、職能型基金は、同種の事業又は業務につき全国を通じて一個とする(118条の2第2項)。

設立委員等

地域型基金を設立するには、加入員たる資格を有する者及び年金に関する学識経験を有する者のうちから厚生労働大臣が任命した者が設立委員とならなければならない(109条1項)。

地域型基金は、1000人以上の加入員がなければ設立することができない(109条4項)。

職能型基金は、3000人以上の加入員がなければ設立することができない(109条5項)。

成立の時期

基金は、設立の認可を受けた時に成立する(109条の4)。

加入員

第1号被保険者は、その者が住所を有する地区に係る地域型基金又はその従事する事業若しくは業務に係る職能型基金に申し出て、その加入員となることができる。ただし、他の基金の加入員であるときは、この限りでない(127条1項)。

加入員は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第1号又は第4号に該当するに至ったときは、その日とし、第3号に該当するに至ったときは、当該保険料を納付することを要しないものとされた月の初日とする。)に、加入員の資格を喪失する(127条3項)。

① 被保険者の資格を喪失したとき、又は第2号被保険者若しくは第3号被保険者となったとき。

② 地域型基金の加入員にあっては、当該基金の地区内に住所を有する者でなくなったとき、職能型基金の加入員にあっては、当該事業又は業務に従事する者でなくなったとき。

③ 保険料を納付することを要しないものとされたとき及びその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされたとき。

④ 農業者年金の被保険者となったとき。

⑤ 当該基金が解散したとき。

3号の保険料を納付することを要しないものとされたときについて、付加年金も通常の保険料を免除されている者は納付することができなかった点と同じです。基金はあくまで上乗せであるという点を意識すると理解しやすいと思います。

基金の給付の基準

基金が支給する年金は、少なくとも、当該基金の加入員であった者が老齢基礎年金の受給権を取得したときには、その者に支給されるものでなければならない(129条1項)。

基金が支給する一時金は、少なくとも、当該基金の加入員又は加入員であった者が死亡した場合において、その遺族が死亡一時金を受けたときには、その遺族に支給されるものでなければならない(129条3項)。

基金は、基礎年金に上乗せするものであるため、少なくとも、基礎年金の支給事由があるときに支給されるものでなければならないとされています。

基金が支給する年金は、政令の定めるところにより、その額が算定されるものでなければならない(130条1項)。

老齢基礎年金の受給権者に対し基金が支給する年金の額は、200円に加入員期間の月数を乗じて得た額を超えるものでなければならない(130条2項)。

基金が支給する一時金の額は、8500円を超えるものでなければならない(130条3項)。

付加年金と国民年金基金はどちらか片方しか入ることができません。そのため、国民年金基金が支給する年金の額は、付加年金を超えるものでなければならないとされています。8,500円については、死亡一時金の金額と紐づけると記憶しやすいと思います。

掛金

基金は、基金が支給する年金及び一時金に関する事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収する(134条1項)。

解散

基金は、次に掲げる理由により解散する(135条1項)。

① 代議員の定数の4分の3以上の多数による代議員会の議決
② 基金の事業の継続の不能
③ 解散の命令

基金は、解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(135条2項)。

合併

基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、他の基金と吸収合併をすることができる。(137条の3本文)。

基金は、吸収合併契約について代議員会において代議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない(137条の3の3)。

分割

基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、吸収分割をすることができる(137条の3の7)。

基金は、吸収分割契約について代議員会において代議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない(137条の3の9)。

第2節 国民年金基金連合会

連合会

基金は、中途脱退者及び解散基金加入員に係る年金及び一時金の支給を共同して行うため、国民年金基金連合会(以下「連合会」という。)を設立することができる(137条の4)。

中途脱退者については、後述します。

連合会の業務

連合会は、年金又は一時金を支給するものとされている中途脱退者及びその会員である基金に係る解散基金加入員に対し、年金又は死亡を支給事由とする一時金の支給を行うものとする(137条の15第1項)。

連合会は、次に掲げる事業を行うことができる。ただし、第1号に掲げる事業を行う場合には、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
① 基金が支給する年金及び一時金につき一定額が確保されるよう、基金の拠出金等を原資として、基金の積立金の額を付加する事業
② 委託を受けて基金の業務の一部を行う事業
③ 基金への助言又は指導を行う事業その他の基金の行う事業の健全な発展を図るものとして政令で定める事業
④ 国民年金基金制度についての啓発活動及び広報活動を行う事業

連合会は、中途脱退者や解散した基金の加入員に対し、年金又は死亡を支給事由とする一時金の支給を行います。これらは、ひとつの基金で行うことは難しいので、連合会をつくって、共同して行うようになっています。

中途脱退者に係る措置

連合会の会員である基金は、政令の定めるところにより、中途脱退者(当該基金の加入員の資格を喪失した者であって、政令の定めるところにより計算したその者の当該基金の加入員期間が政令で定める期間に満たないものをいう。以下同じ。)の当該基金の加入員期間に係る年金の現価に相当する額(以下「現価相当額」という。)の交付を当該連合会に申し出ることができる(137条の17第1項)。

基金は、現価相当額の交付を受けたときは、当該交付金を原資として、当該中途脱退者に係る年金又は一時金を支給するものとする(137条の18第3項)。

中途脱退者の加入員期間が短いと、その者が支払った掛金は掛け捨てになってしまいます。そこで、基金は、中途脱退者の現価相当額の交付を連合会に申し出ることができます。基金は、現価相当額の交付を受けたときは、中途脱退者に年金または一時金を支給します。本試験対策として、国民年金基金連合会は、中途脱退者に対して年金または一時金を支給する役割がある点をおさえておきましょう。

参考:全国国民年金基金

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。社会保険労務士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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