会社法の株式会社の株式の株式の譲渡等から株式の譲渡について学習します。
第3節「株式の譲渡等」は、全4款で構成されています。
- 第1款 株式の譲渡
- 第2款 株式の譲渡に係る承認手続
- 第3款 株式の質入れ
- 第4款 信託財産に属する株式についての対抗要件等
まずは、株式の譲渡についてみていきましょう。
株式の譲渡
株主は、株式を譲渡することができるのが原則です。
株券発行会社の株式の譲渡
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない(128条1項)。
株券発行会社は、株券を交付しなければ、譲渡の効力を生じません。反対に解釈すると、原則である株券不発行会社は、意思表示だけで譲渡の効力を生じるということです。
株式の譲渡の対抗要件
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない(130条1項)。
株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする(同条2項)。
株式の譲渡は、株主名簿に記載しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができません。もっとも、株券発行会社では、「株式会社その他の第三者」を「株式会社」と読み替えるため、株主名簿に記載しなければ株式会社には対抗できませんが、第三者には対抗できることになります。
株券不発行会社 | 株券発行会社 | |
株式会社 | 株主名簿 | 株主名簿 |
第三者 | 株主名簿 | – |
まず、株式会社に対しては、株主名簿に記載しなければ対抗できないことをおさえましょう。次に、第三者に対しては、株券不発行会社は同じように株主名簿に記載しなければ対抗できません。一方、株券発行会社は、株券を交付することによって効力を生じるため、株券を持っていれば、第三者に対しては対抗することができるようになっています。
権利の推定等
株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する(131条1項)。
株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない(同条2項)。
このあたりは、民法の占有と同じように考えることができます。
親会社株式の取得の禁止
子会社は、その親会社である株式会社の株式(親会社株式)を取得してはならない(135条1項)。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない(同条2項)。
① 他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
② 合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
③ 吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
④ 新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
⑤ 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合
子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない(同条3項)。
子会社が親会社株式を取得すると、親会社が自己株式を取得するのと同様の弊害が生じることから、子会社が親会社株式を取得することはできないようになっています。もっとも、一定の対価として取得する場合は適用しない、つまり、取得することができます。この場合、子会社は、相当の時期に親会社株式を処分しなければなりません。