【民事訴訟法】争点及び証拠の整理手続について、準備的口頭弁論などのまとめ

民事訴訟法

民事訴訟法の口頭弁論及びその準備から争点及び証拠の整理手続について解説します。争点及び証拠の整理手続は、準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続の3つに分けられます。このうち、準備的口頭弁論は口頭弁論になり、他の2つは異なります。

第一審の訴訟手続>口頭弁論及びその準備>争点及び証拠の整理手続

第1款 準備的口頭弁論

準備的口頭弁論の開始

裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、この款に定めるところにより、準備的口頭弁論を行うことができる(164条)。

争点及び証拠の整理を行うための口頭弁論を準備的口頭弁論といいます。

証明すべき事実の確認等

裁判所は、準備的口頭弁論を終了するに当たり、その後の証拠調べにより証明すべき事実を当事者との間で確認するものとする(165条1項)。

裁判長は、相当と認めるときは、準備的口頭弁論を終了するに当たり、当事者に準備的口頭弁論における争点及び証拠の整理の結果を要約した書面を提出させることができる(165条2項)。

準備的口頭弁論終了後の攻撃防御方法の提出

準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない(167条)。

参考:口頭弁論等 | 裁判所

第2款 弁論準備手続

弁論準備手続の開始

裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる(168条)。

口頭弁論期日外の期日において、争点及び証拠の整理を行うための手続を弁論準備手続といいます。前述の準備的口頭弁論が口頭弁論期日で行われるのに対して、弁論準備手続は、口頭弁論期日ではない期日に行われる、つまり口頭弁論ではないというのがポイントです。また、弁論準備手続では、後述するようにできる行為が限定されるため、当事者の意見を聴くことが定められています。

弁論準備手続の期日

弁論準備手続は、当事者双方が立ち会うことができる期日において行う(169条1項)。

裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない(169条2項)。

弁論準備手続における訴訟行為等

裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる(170条1項)。

裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判及び文書の証拠調べをすることができる(170条2項)。

裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる(170条3項)。

弁論準備手続では、証拠の申出に関する裁判や文書の証拠調べをすることができます。この段階で、争点や証拠の整理をして、口頭弁論に臨むことで迅速かつ充実した審理ができるようになります。

第3項は、令和4年改正でできた条文です。ウェブ会議等による手続では、口頭弁論の期日における手続が映像と音声、審尋の期日における手続が音声による送受信であったことと比較しておきましょう。

受命裁判官による弁論準備手続

裁判所は、受命裁判官に弁論準備手続を行わせることができる(171条1項)。

受命裁判官とは、合議体から委任された裁判官のことをいいます。「判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がする。」(249条)と、直接主義が定められています。しかし、前段階として、争点や証拠の整理をする弁論準備手続では、受命裁判官、たとえば、3人の合議体であるところ、そのうちの1人に弁論準備手続を行わせることができるようになっています。

弁論準備手続の結果の陳述

当事者は、口頭弁論において、弁論準備手続の結果を陳述しなければならない(173条)。

裁判は、直接主義があります。また、憲法82条1項は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」と公開主義を定めています。そのため、弁論準備手続でなされた主張や証拠を訴訟資料とするには、口頭弁論において、弁論準備手続の結果を陳述する必要があります。

弁論準備手続終結後の攻撃防御方法の提出

第167条の規定は、弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する(174条)。

弁論準備手続でも、終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、弁論準備手続の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならないとされています。

第3款 書面による準備手続

書面による準備手続の開始

裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を書面による準備手続(当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続をいう。以下同じ。)に付することができる(175条)。

書面による準備手続とは、当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続をいいます。

書面による準備手続の方法等

書面による準備手続は、裁判長が行う。ただし、高等裁判所においては、受命裁判官にこれを行わせることができる(176条1項)。

裁判長等は、必要があると認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、争点及び証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のため必要な事項について、当事者双方と協議をすることができる。この場合においては、協議の結果を裁判所書記官に記録させることができる(176条3項)。

準備的口頭弁論と、弁論準備手続が「裁判所」という機関が行っていたのに対し、書面による準備手続は「裁判長」が行います。書面による準備手続は、当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点や証拠の整理をするため、経験豊富な裁判長ができると考えるとわかりやすいと思います。

また、書面による準備手続も音声の送受信による方法でできます。

証明すべき事実の確認

裁判所は、書面による準備手続の終結後の口頭弁論の期日において、その後の証拠調べによって証明すべき事実を当事者との間で確認するものとする(177条)。

書面による準備手続は、裁判長等が行うため、書面による準備手続の終結後の口頭弁論の期日において、「証拠調べによって証明すべき事実はこれです」と当事者との間で確認します。弁論準備手続は、当事者が出頭しているので、弁論準備手続の結果を陳述するというのと比較しておきましょう。

書面による準備手続終結後の攻撃防御方法の提出

書面による準備手続を終結した事件について、口頭弁論の期日において、第176条第4項において準用する第165条第2項の書面に記載した事項の陳述がされ、又は前条の規定による確認がされた後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、その陳述又は確認前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない(178条)。

読みにくいので整理しましょう。書面による準備手続を終結した事件について、口頭弁論の期日において、165条2項「争点及び証拠の整理の結果を要約した書面」に記載した事項の陳述がされ、または前条(177条)の規定による「証明すべき事実の確認」がされた後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、その陳述又は確認前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならないということです。書面による準備手続は、書面ベースなので表現が少し異なりますが、準備的口頭弁論や弁論準備手続と同じことが定められています。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

特集記事

TOP
CLOSE