【民事訴訟法】督促手続について、仮執行の宣言や異議などのまとめ

民事訴訟法

民事訴訟法の督促手続について解説します。督促手続は、内容や手続について、条文が定めてくれているので、条文を押さえるようにしましょう。

第1章 総則

支払督促の要件

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る(382条)。

支払督促は、金銭等の給付を目的とする請求について、することができます。これは、もし請求権がなかったときも、債務者が損害を回復することができる、もう少しかみくだいていうとお金で解決できるためです。

支払督促の申立て

支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする(383条1項)。

支払督促の申立ては、簡易裁判所の裁判所書記官にします。支払督促の申立ては価額に上限がない点に注意しましょう。

支払督促のイメージをつかむために、支払督促申立書を見てみましょう。

支払督促

支払督促

支払督促

参考:支払督促 | 裁判所

訴えに関する規定の準用

支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する(384条)。

申立ての却下

支払督促の申立てが第382条[要件]若しくは第383条[申立て]の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする(385条1項)。

前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる(385条2項)。

前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならない(385条3項)。

前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない(385条4項)。

支払督促の要件や申立ての規定に違反するとき、申立ては却下されます。この処分に対しては、告知を受けた日から1週間内に異議の申立てをすることができます。4項は読みにくいですが、この「異議の申立てについての裁判」に対しては、不服を申し立てることはできないということです。一度却下されて異議を申し立てて、それに対して裁判されますが、その裁判に対しては、さらに不服を申し立てることはできないということです。

支払督促の発付等

支払督促は、債務者を審尋しないで発する(386条1項)。

債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる(386条2項)。

支払い督促は、債務者を審尋しないで発します。これに対し、債務者は「どうして支払督促をするんですか」と異議を申立てることができます。

支払督促の送達

支払督促は、債務者に送達しなければならない(388条1項)。

支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる(388条2項)。

仮執行の宣言前の督促異議

仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う(390条)。

仮執行の宣言

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない(391条1項)。

仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを当事者に送達しなければならない。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記載をした支払督促を送付することをもって、送達に代えることができる(391条2項)。

第385条第2項及び第3項の規定は、第1項の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについて準用する(391条3項)。

前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる(391条4項)。

ここまで整理しましょう。支払督促が発付されると、債務者に送達されます。債務者に送達された時、支払督促の効力が生じます。ここで、2週間以内に督促異議の申立てがあると、支払督促は効力を失います。督促異議の申立てがないと、債権者の申立てにより、仮執行の宣言がされます。仮執行の宣言は、当事者に送達されます。先ほどの支払督促が債務者だけに送達されるのと比較しておきましょう。

そして、仮執行宣言の申立てを却下されたときは、債権者は異議の申立てをすることができます。385条2項と3項を準用しているので、告知を受けた日から1週間の不変期間内にする必要があります。この異議の申立てについての裁判、つまり却下されたので異議の申立てをして、この裁判に対しては、即時抗告をすることができます。先ほど、支払督促を却下した異議の申立ての裁判に対しては不服を申し立てることができなかったことと比較しておきましょう。

期間の徒過による支払督促の失効

債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う(392条)。

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないとき、債権者の申立てによって、仮執行の宣言がされます。この仮執行の宣言の申立てをすることができる時、つまり、債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間が経過した時から30日以内に申立てをしないときは、支払督促は効力を失います。債権者にやる気がないのならしませんということです。

仮執行の宣言後の督促異議

仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない(393条)。

督促異議の申立てによる訴訟への移行

適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす(395条)。

督促異議の申立てがあったとき、訴えの提起があったものとみなされます。

支払督促の効力

仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する(396条)。

第2章 電子情報処理組織による督促手続の特則

※省略

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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