【司法書士法】司法書士の義務について、業務を行い得ない事件などのまとめ

司法書士法

司法書士法の司法書士の義務について学習します。

事務所

司法書士は、法務省令で定める基準に従い、事務所を設けなければならない。

依頼に応ずる義務

司法書士は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない。

司法書士は、国民の権利を擁護することを使命としているため、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことはできません。ただ、簡裁訴訟代理等関係業務に関するものは、依頼者との信頼関係がなければできないため、依頼を拒むことができるようになっています。

業務を行い得ない事件

司法書士は、公務員として職務上取り扱った事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件については、その業務を行ってはならない(22条1項)。

公務員として職務上取り扱った事件などは、公平性から、業務を行ってはならないとされています。業務を行い得ない事件は、司法書士法の山場のひとつなので、しっかりおさえておきましょう。

司法書士は、次に掲げる事件については、裁判書類等作成関係業務を行ってはならない(22条2項)。

① 相手方の依頼を受けて第3条第1項第4号[裁判所等に提出する書類等を作成すること]に規定する業務を行った事件

② 司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の依頼を受けて前号に規定する業務を行った事件であって、自らこれに関与したもの

③ 司法書士法人の使用人である場合に、当該司法書士法人が相手方から簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件

まず、司法書士が業務を行ってはならないとされるのは、裁判書類等作成関係業務です。登記や供託などは書類を作って提出するくらいですが、裁判書類等作成関係業務は争うことが前提なので、以前、相手方(Aさん)の依頼を受けて裁判所書類等作成関係業務を行った事件について、今度は、BさんとAさんが争うときに、Bさんの味方になってはいけないということです。この司法書士はAさんの事情について詳しく知っているため、不公平になるからです。同様に、司法書士法人の社員や使用人である期間内に、自ら関与したものについても行ってはなりません。

第3条第2項に規定する司法書士[認定司法書士]は、次に掲げる事件については、裁判書類等作成関係業務を行ってはならない。ただし、第3号及び第6号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない(22条3項)。

① 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件

② 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの

③ 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件

④ 司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が、簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であって、自らこれに関与したもの

⑤ 司法書士法人の社員又は使用人である司法書士としてその業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであって、自らこれに関与したもの

⑥ 司法書士法人の使用人である場合に、当該司法書士法人が簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件(当該司法書士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件

先ほどとほとんど同じですが、先ほどはすべての司法書士が対象となる裁判書類等作成関係業務を行った場合について規定したものであるのに対し、今回は、認定司法書士のみが業務を行える簡裁訴訟代理等関係業務を行った場合について規定しているものです。基本的な考え方は先ほどと同じです。

「ただし、第3号及び第6号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない」について、3号と6号は、「相手方からの依頼による他の事件」のため、依頼者が同意した場合は、業務を行うことができます。

第3条第2項に規定する司法書士は、第2項各号及び前項各号に掲げる事件については、簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならない。この場合においては、同項ただし書の規定を準用する(22条4項)。

条文だと難しく感じるので補則します。認定司法書士は、第2項各号(裁判書類等作成関係業務)及び前項各号(簡裁訴訟代理等関係業務)に掲げる事件について、簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならない、つまり、3項では、裁判書類等作成関係業務を行ってはならない場合について規定しており、4項で簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならない場合について規定しているということです。

会則の遵守義務

司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会の会則を守らなければならない(23条)。

秘密保持の義務

司法書士又は司法書士であった者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない(24条)。

司法書士でいる間はもちろん、司法書士であった者も、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはなりません。

研修

司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない(25条)。

士業に登録すると、さまざまな研修があるので、積極的に受けるようにしましょう。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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