【商業登記法】取得請求権付株式の定めについて、設定・変更・廃止のまとめ

商業登記法

商業登記法の登記手続から取得請求権付株式の定めについて学習します。

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取得請求権付株式の定め

取得請求権付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう(会社法2条18号)。

取得請求権付株式は、株主が株式会社に対して株式の取得を請求することができる旨を定めている株式のことをいいます。株主側から「買い取ってください」と請求できるということです。

設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない(会社法911条3項7号)。
・・・
⑦ 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)

取得請求権付株式の定めは、発行する株式の内容として登記をします。

手続

株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない(会社法107条2項)。
② 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項(略)

取得請求権付株式の定めは、定款の記載事項です。

株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない(108条2項)。
⑤ 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項(略)

種類株式についても同様の規定がされています。

株式会社は、その成立後、株主総会の決議[特別決議]によって、定款を変更することができる(会社法466条、309条2項11号)。

取得請求権付株式の定めを設定・変更・廃止する定款の変更を行う場合、特別決議が必要になります。譲渡制限株式の設定が特殊決議であったことと比較しましょう。また、取得請求権付株式の定めを廃止する場合は株主にとって不利なのではないかと思うかもしれませんが、譲渡制限のような大きな不利ではないため、特別決議で良いと考えると納得できると思います。

登記申請

(1)登記の事由

発行する株式の内容の設定」とします。変更や廃止の場合は、「設定」の部分をそれぞれ「変更」「廃止」とします。種類株式発行会社では、「発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更」となります。記載事項が異なるのは、登記される場所が異なるからです。

ただし、同じ「発行する株式の内容」でも、株式の譲渡制限に関する規定だけは、全部の株式でも種類株式でも「株式の譲渡制限に関する規定の設定」として登記します。株式の譲渡制限に関する規定だけは別の登記事項である点を比較しながらおさえましょう。

(2)登記事項

設定年月日と「変更」(*「設定」の場合でも「変更」を用いるものとされています)とし、「発行する株式の内容 当会社の株主は、いつでも当会社に対して当会社の株式を1株3万円で取得することを請求することができる。」のように記載します。文言については、記述式問題の株主総会議事録等に記載されているので、それを書き写しましょう。

(3)登録免許税

登録免許税は、申請1件につき3万円です(登録免許税法別表第1.24(1)(ツ))。

(4)添付書面

株主総会議事録を添付します(46条2項)。

また、株主リストの添付が必要になります(規則61条3項)。

代理人によって登記を申請するには、委任状の添付が必要になります(18条)。

(5)記載例

登記の事由 発行する株式の内容の設定
登記事項 令和◯年◯月◯日変更
発行する株式の内容 当会社の株主は、いつでも当会社に対して当会社の株式を1株3万円で取得することを請求することができる。
登録免許税 3万円
添付書面 株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
委任状 1通

 

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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