商業登記法の登記手続から通則について学習します。登記手続は、商業登記法の中心となる部分です。第3章「登記手続」は、全10節で構成されています。このうち、重要なのは、第5節の「株式会社の登記」です。今回は、登記手続の全体について定める通則をみていきましょう。
当事者申請主義
不動産登記法と同じことが規定されています。
登記申請の方式
登記の申請は、書面でしなければならない(17条1項)。
申請書には、次の事項を記載し、申請人又はその代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、その職務を行うべき者)若しくは代理人が記名押印しなければならない(17条2項)。
① 申請人の氏名及び住所、申請人が会社であるときは、その商号及び本店並びに代表者の氏名又は名称及び住所(当該代表者が法人である場合にあっては、その職務を行うべき者の氏名及び住所を含む。)
② 代理人によって申請するときは、その氏名及び住所
③ 登記の事由
④ 登記すべき事項
⑤ 登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書の到達した年月日
⑥ 登録免許税の額及びこれにつき課税標準の金額があるときは、その金額
⑦ 年月日
⑧ 登記所の表示
前項第4号に掲げる事項[登記すべき事項]を記録した電磁的記録が法務省令で定める方法により提供されたときは、同項の規定にかかわらず、申請書には、当該電磁的記録に記録された事項を記載することを要しない(17条3項)。
登記の申請は、書面でする必要があります。そして、規則の「電子情報処理組織による登記の申請等に関する特例」によって、「電子情報処理組織を使用する方法によってすることができる。」ことが定められています(規則101条)。不動産登記法が法律で①電子情報処理組織を使用する方法、②申請情報を記載した書面を提出する方法が規定されていたことと比較しておきましょう。
申請書には、登記の事由、登記すべき事項等を記載し、申請人等が記名押印します。ここでいう、代理人とは、司法書士を考えるとわかりやすいと思います。この場合、司法書士が記名押印するので、申請人は記名押印する必要はありません。申請人は、委任状に記名押印する形になります。
3項について、「登記すべき事項」をCD-Rなどの電磁的記録により提供したときは、申請書に登記すべき事項を記載しなくてもよいということです。
参考:法務省:商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)
申請書の添付書面
代理人が登記を申請するには、委任状を添付する必要があります。
申請書に添付すべき電磁的記録
定款等が電磁的記録で作られているときは、その電磁的記録を添付します。
添付書面の特例
会社法人等番号を記載した場合、登記事項証明書に代えることができます。
登記官による本人確認
登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない(23条の2第1項)。
登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる(23条の2第2項)。
不動産登記法と同様のことが定められています。
行政区画等の変更
区画変更等があったときは、変更による登記があったものとみなされます。