【商業登記法】商号の登記について、営業又は事業の譲渡の際の免責の登記などのまとめ

商業登記法

商業登記法の登記手続から商号の登記について学習します。

商業登記法>登記手続>商号の登記

同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止

商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあっては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない(27条)。

商号がすでに登記した商号と同一であり、かつ、所在場所が同一であるときは、同じ商号の登記をすることができません。

登記事項等

商号の登記は、営業所ごとにしなければならない(28条1項)。

商号の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする(同条2項)。
① 商号
② 営業の種類
③ 営業所
④ 商号使用者の氏名及び住所

商号の登記は、規則別表第1の商号登記簿にされます。詳しくは後述しますが、会社の商号の登記は会社の登記簿にします(34条)。試験対策上、(会社以外の)商号の登記の登記事項等は択一対策としておさえておきましょう。会社の商号の登記は記述対策にもなります。

商号を登記するには、ローマ字その他の符号で法務大臣の指定するものを用いることができる(規則50条1項)。

規則別表第1(商号登記簿)

区の名称 記録すべき事項
商号区 商号
商号譲渡人の債務に関する免責
営業所
会社法人等番号
商号使用者
営業の種類
登記記録区 登記記録を起こした事由及び年月日
登記記録を閉鎖した事由及び年月日
登記記録を復活した事由及び年月日

変更等の登記

商号の登記をした者は、その営業所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、旧所在地においては営業所移転の登記を、新所在地においては前条第2項各号に掲げる事項の登記を申請しなければならない(29条1項)。

商号の登記をした者は、前条第2項各号に掲げる事項に変更を生じたとき、又は商号を廃止したときは、その登記を申請しなければならない(同条2項)。

商号の譲渡又は相続の登記

商号の譲渡による変更の登記は、譲受人の申請によってする(30条1項)。

前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書及び商法第15条第1項[商号の譲渡]の規定に該当することを証する書面を添付しなければならない(同条2項)。

商号の相続による変更の登記を申請するには、申請書に相続を証する書面を添付しなければならない(同条3項)。

商法15条1項は、「商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。」と定めています。商号の譲渡による変更の登記は、これに該当することを証する書面を添付します。

営業又は事業の譲渡の際の免責の登記

商法第17条第2項前段[譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等]及び会社法第22条第2項前段[譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等]の登記は、譲受人の申請によってする(31条1項)。

前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書を添付しなければならない(同条2項)。

商法17条1項は、「営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。」と定めています。もっとも、2項前段は、「前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。」として、免責について定めています。この登記について定めているのが31条です。

法第30条第1項[商号の譲渡]及び法第31条第1項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と当該譲渡人が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない(規則52条の2)。

商号の譲渡人の意思を確認するため、承諾書に押印した印鑑の印鑑証明書が必要になります。ただし、承諾書に押印した印鑑と登記所に提出している印鑑とが同一のときは、登記所で確認することができるため、印鑑証明書は不要になります。

相続人による登記

相続人が前3条の登記を申請するには、申請書にその資格を証する書面を添附しなければならない(32条)。

商号の登記の抹消

次の各号に掲げる場合において、当該商号の登記をした者が当該各号に定める登記をしないときは、当該商号の登記に係る営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所において同一の商号を使用しようとする者は、登記所に対し、当該商号の登記の抹消を申請することができる(33条1項)。
① 登記した商号を廃止したとき 当該商号の廃止の登記
② 商号の登記をした者が正当な事由なく2年間当該商号を使用しないとき 当該商号の廃止の登記
③ 登記した商号を変更したとき 当該商号の変更の登記
④ 商号の登記に係る営業所を移転したとき 当該営業所の移転の登記

商号の登記の抹消を申請する者は、申請書に当該商号の登記に係る営業所の所在場所において同一の商号を使用しようとする者であることを証する書面を添付しなければならない(同条2項)。

会社の商号の登記

会社の商号の登記は、会社の登記簿にする(34条1項)。

第28条[登記事項等]、第29条[変更等の登記]並びに第30条第1項及び第2項[商号の譲渡による変更の登記]の規定は、会社については、適用しない(34条2項)。

会社の商号の登記は、会社の登記簿にします。会社については、登記事項等について定めている28条が適用されないので、商号のみを登記します。もっとも、会社の登記簿では、営業の種類は「目的」、営業所は「本店」などの登記事項として登記することになります。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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