商業登記法の登記手続から未成年者及び後見人の登記について学習します。
未成年者登記の登記事項等
未成年者登記において登記すべき事項は、次のとおりとする(35条1項)。
① 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所
② 営業の種類
③ 営業所
第29条[変更等の登記]の規定は、未成年者の登記に準用する(35条2項)。
規則別表第2(未成年者登記簿)
区の名称 | 記録すべき事項 |
未成年者区 | 会社法人等番号 未成年者 営業所 営業の種類 |
登記記録区 | 登記記録を起こした事由及び年月日 登記記録を閉鎖した事由及び年月日 登記記録を復活した事由及び年月日 |
申請人
未成年者の登記は、未成年者の申請によってする(36条1項)。
営業の許可の取消しによる消滅の登記又は営業の許可の制限による変更の登記は、法定代理人も申請することができる(36条2項)。
未成年者の死亡による消滅の登記は、法定代理人の申請によってする(36条3項)。
未成年者が成年に達したことによる消滅の登記は、登記官が、職権ですることができる(36条4項)。
未成年者の登記は、自身で営業ができる能力があるので、未成年者が申請します。また、営業許可の取り消しによる消滅の登記や営業の許可の制限による変更の登記は、未成年者だけでなく、法定代理人もすることができます。未成年者が成年に達したことによる消滅の登記は、成年に達したことは登記内容からわかるため、登記官が、職権ですることができます。
添付書面
未成年者の登記の申請書には、法定代理人の許可を得たことを証する書面を添付しなければならない。ただし、申請書に法定代理人の記名押印があるときは、この限りでない(37条1項)。
未成年後見人が未成年被後見人の営業を許可した場合において、未成年後見監督人がないときはその旨を証する書面を、未成年後見監督人があるときはその同意を得たことを証する書面を、前項の申請書に添付しなければならない(37条2項)。
未成年者の死亡による消滅の登記の申請書には、未成年者が死亡したことを証する書面を添付しなければならない(39条)。
基本的な考え方として、前条の登記内容を証明する書面を添付します。
後見人登記の登記事項等
後見人登記において登記すべき事項は、次のとおりとする(40条1項)。
① 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別
② 被後見人の氏名及び住所
③ 営業の種類
④ 営業所
⑤ 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
⑥ 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
⑦ 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容
第29条[変更等の登記]の規定は、後見人の登記に準用する。(30条2項)。
未成年者登記は未成年者のみを登記するのに対して、後見人登記は被後見人だけでなく後見人の氏名等も登記することに注意しましょう。
規則別表第3(後見人登記簿)
区の名称 | 記録すべき事項 |
後見人区 | 後見人 会社法人等番号 被後見人 営業所 営業の種類 後見人の権限の行使に関する事項 |
登記記録区 | 登記記録を起こした事由及び年月日 登記記録を閉鎖した事由及び年月日 登記記録を復活した事由及び年月日 |
申請人
後見人の登記は、後見人の申請によってする(41条)。
未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記は、その者も申請することができる。成年被後見人について後見開始の審判が取り消されたことによる消滅の登記の申請についても、同様とする(41条2項)。
後見人の退任による消滅の登記は、新後見人も申請することができる(41条3項)。
後見人の登記は、後見人が申請します。制限行為能力者であるということを考えると、後見人が申請することが理解しやすいと思います。このことから、未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記、被後見人について後見開始の審判が取り消されたことによる消滅の登記の申請は、その者もすることができます。
添付書面
後見人登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない(42条1項)。
① 後見監督人がないときは、その旨を証する書面
② 後見監督人があるときは、その同意を得たことを証する書面
③ 後見人が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の本店又は主たる事務所がある場合を除く。
後見人が法人であるときは、第40条第1項第1号[後見人の名称等]に掲げる事項の変更の登記の申請書には、前項第3号に掲げる書面[登記事項証明書]を添付しなければならない。ただし、同号ただし書に規定する場合は、この限りでない(42条2項)。
前条第2項[未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記]又は第3項[後見人の退任による消滅の登記]の登記の申請書には、未成年被後見人が成年に達したこと、成年被後見人について後見開始の審判が取り消されたこと又は後見人が退任したことを証する書面を添付しなければならない(42条5項)。
添付書類については、未成年者登記と同じように登記内容を証明することができる書面を添付します。