行政書士試験において、苦手意識を持っている方が多いのが「行政書士の業務に関連する一般知識等」(以下、一般知識等科目)です。一般知識等科目は、何が出題されるのがわかにくいというのが不安要素です。しかし、分野ごとに対策を立てれば、けっして難しいものではないことがわかります。
そこで、ここでは一般知識等科目を整理してその対策を立ててみたいと思います。
目次
一般知識等科目について
全部で14問出題される
一般知識等科目は、全部で14問出題されます。内訳は概ね以下のとおりです。
- 政治・経済・社会:6〜7問
- 情報通信・個人情報保護:3〜4問
- 文章理解:3問
一般知識等科目の内容の分け方は「行政書士試験研究センター」に準拠しています。
一般知識等科目の得点戦略
一般知識等科目は、14問中6問正解すれば脚切りをクリアできます。しかし、法令等科目と一般知識等科目を合計した合格点を考えると、8問程度は正解したいところです。一般知識等の点数が低ければ低いほど、法令等科目で必要になる点数(合格の180点を満たす点数)が高くなるからです。
というのは、よく聞く話ですが(私もそう思っていました)、だからといって、「8問正解するぞ!」と思って正解できれば苦労はしません。そこで、どうやってこの8問(または最低6問)を狙っていくかを考えることで、対策が見えてきます。
具体的には、次のような得点配分をめざします。
- 政治・経済・社会:2問
- 情報通信・個人情報保護:3問(または2問)
- 文章理解:3問(または2問)
対策が立てやすい文章理解はできれば3問(または2問)、次に対策が立てやすい情報通信・個人情報保護で3問(ただし、情報通信は対策が立てにくいので2問正解でも可)。そして、政治・経済・社会で2問正解を目指します。これで8問は見えてきました。少なくとも脚切りの心配は減ったと思います。
これはあくまで一例なので、「いや、自分はこう思う」という方は、微調整していくと良いでしょう。得意不得意はみんな違います。たとえば、大切なのは、分析をして対策を立てることです。
インプット編:基本書を使う
政治・経済・社会
一般知識等科目のインプットは、基本書(テキスト)を使います。
政治・経済・社会について、一般常識などの本を進めるところもあるようですが、範囲が幅広く予想をすることは難しいので、行政書士試験用の基本書を勉強すれば十分だと思います。
情報通信・個人情報保護
情報通信も、対策を立てるのが難しい分野です。しかし、聞かれる内容は広く浅くなので、試験を受ける1, 2年間で話題になっていたことをかんたんに把握しておきましょう。
個人情報保護は、法令の内容を覚えるのが基本なので、法令等科目と同じように対策が立てやすいのが特徴です。最初は覚えることが多いですが、行政法の延長として淡々とインプットしましょう。
文章理解
文章理解は、解法が必要です。文章を読む力というのもそうですが、多少テクニック的なものもあると心強いので、過去問に載っている解き方や予備校の講座を利用すると良いでしょう。私は、LECさんの行政書士講座のコースについていた「文章理解特訓講座」を使いました。
アウトプット編:過去問を使う
政治・経済・社会
一般知識等科目のアウトプットも、法令等科目と同じように過去問を使いましょう。ただし、政治・経済・社会という内容の特性上、同じテーマが出題されるいうのは考えにくいため、大体こういう深度で出題されるんだということを確認しておくと良いでしょう。
たとえば、令和3年度(2021年)は、次のものがテーマになっていました。
- 問題47:近代オリンピック
- 問題48:新型コロナウイルス
- 問題49:公的役職
- 問題50:ふるさと納税
- 問題51:国際収支
- 問題52:エネルギー需給動向
- 問題53:先住民族
- 問題54:ジェンダー
近代オリンピックは東京オリンピックがあったため出題されたと思われます。新型コロナウイルスは言わずもがなです(この年は国賠訴訟でも予防接種について出題されていました)。
その他、一見難しそうと思えるテーマでも知っている知識から消去法を使えば解けるものも多いので、過去問を見てみましょう。政治・経済・社会も意外とできそうだと思うはずです。
情報通信・個人情報保護
情報通信は、政治・経済・社会と同じようにトレンドが出題されます。ただ、求められるのはあくまで一般知識レベルなので、怯える必要はありません。
たとえば、令和3年度(2021年)は、次のものがテーマになっていました。
- 問題55:顔認証
- 問題56:自動運転
- 問題57:個人情報保護制度
顔認証は個人情報保護と組み合わせた出題でした。自動運転はテスラ社などでだいぶ認知されてきましたが、「レベル1〜5」の内容を知っている方は少なかったのではないかと思っています。といっても、難しいものではなく明らかに間違いのものがわかれば正解がわかるようになっていました。
個人情報保護制度に関しても、基本書に書かれている内容なので、難易度は高くありません。このようにどういったことがどのくらいの深さで聞かれるのかを把握しておきましょう。
文章理解
文章理解は、文章の並び替えなどが問われるので、戸惑う方も多いと思います。ただ、文章理解問題の解法などを身につけることで解けるようになるので、心配する必要はありません。
文章理解問題は、本番でもある程度長さのある文章を読むことになるので、1問あたりの所要時間を確保しておく必要があります。解法がわかってきたら、過去問を解くときに時間を測って「1問あたりこのくらいかかる」というペースを把握しておきましょう。
※文章理解問題は、著作権の都合上、Web上には過去問が掲載されていません。