行政書士試験は、民法から2題、行政法から1題の記述式問題が出題されます。この記述式問題に苦手意識を持っている方も多いと思います(私も本当に苦手意識がありました…)。この記事では、記述式問題に苦手意識がある方のために、記述式問題の得点戦略や対策方法についてまとめています。
目次
記述式問題を考慮した得点戦略
行政書士試験は、300点満点のうち、記述式には60点分が配点されています(合格は180点以上)。
- 択一式・多肢選択式:240点
- 記述式:60点
ここで、記述式を考慮した戦略を3つ立ててみます。
作戦1:記述式は捨てる
1つめは、記述式を捨てる作戦です。択一式・多肢選択式で180点を目指し、記述式は特別な対策をしません。これなら、ブラックボックスな記述式の採点の影響を心配せずに試験に臨むことができます。デメリットは、択一式・多肢選択式の正答率が75%以上を目指さないといけないことです。
作戦2:記述式を加点事由に捉える
2つめは、記述式は加点事由に捉える作戦です。択一式・多肢選択式でできるだけ得点を狙いつつ、記述式もバランスよく点数がとれるように目指します。仮に択一式・多肢選択式で160〜170点ほどとれれば、記述式が20〜30点(得点率50%)だったとしても十分に合格できます。
本試験でもっとも精神的負担が少ないのがこの作戦だと思います。行政書士試験は、6割が正解すれば合格なので、それほど難しいわけではありません。難しく感じるのは配点割合なのだと思います。択一式と多肢選択式に配点された240点のうち6〜7割を目指し、記述式で半分ちょっとの点数を目指せば、合格点を超えることができます。
作戦3:記述式で高得点を狙う
3つめは、記述式で高得点を狙う作戦です。択一式・多肢選択式で基準点に達する程度の得点を狙いつつ、記述式で積極的に点数を狙います(基準点ぎりぎりの場合、記述式で34点以上が必要)。ただ、現実的には、出題範囲が絞りにくく、かつ部分点などの採点方法がブラックボックスの記述式で高得点を狙いにいくのはリスクが高いので、おすすめしません。
記述式問題の対策
記述式の解法を身につけることが必要
記述式の問題を解くには、記述式の「解法」が必要です。具体的には、問題文を読み→何が問われているかを把握し→答えを考えて→40字以内にまとめて→解答用紙に記述する力です。
まず、前提として、何が問われているかを把握するには、記述式が出題される民法と行政法の知識が必要になります。択一式だとなんとなく正誤がわかっても、まっさらな紙に書くとなると意外とインプットが足りていないことに気づきます。そして、問われている内容を40字以内にまとめる力も必要です。
問題集を使って繰り返し学習しよう
記述式の解法を身につけるには、「記述式問題集」を使って練習するのがおすすめです。実際に問題に触れることで、自分に足りないものが見えてきます。第一段階として知識の量が足りていないのなら、インプットが必要ですし、聞かれていることに答える力、40字以内にまとめる力が足りていないのなら、問題をこなして力を身につける必要があります。
もし、ひとりで記述対策をするのが難しかったり、より丁寧な解法を身につけて得点源にしたい方は、予備校の講座を受けてみるのも良いでしょう(私はLECさんの「記述60問解きまくり講座」を使いました)。
記述式の対策におすすめの問題集
ここでは、記述式の対策ができる問題集を紹介します。基本的には、自分が使っているシリーズを選ぶと、編集方針が似ているので使いやすいと思います。使っているものがない方は、「出る順」「合格革命」「みん欲し」シリーズあたりから好みのものを選ぶと良いでしょう。
出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集(LEC)
LECの『出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集』は、オリジナル問題を120問以上収録しています。また、記述式と合わせて多肢選択式も対策できるようになっています。実際に出題された問題は、『出る順行政書士 ウォーク問 過去問題集 1 法令編』を併用すると良いでしょう。
合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集(Wセミナー)
Wセミナーの『合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集』は、基礎編、応用編の2段階で記述式が学習が進められるようになっています。こちらも多肢選択式の対策が可能です。
みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集(TAC)
TACの『みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集』は、記述式の過去問題と予想問題を収録した問題集です。マニュアルで正しい解法がわかるようになっています。「みん欲し」シリーズを使って学習している方なら、迷うことなく選んでおきたい一冊です。
うかる! 行政書士 総合問題集(伊藤塾)
伊藤塾の『うかる! 行政書士 総合問題集』は、択一式、多肢選択式、記述式の過去問とオリジナル問題が収録されている問題集です。記述式に特化しているわけではないので、他の問題集と比べると記述式の問題数は少なめになっています。
記述式対策完成への50問(アガルート)
アガルートの『記述式対策完成への50問』は、記述式の過去問と予想問題が収録されています。アガルートさんは、(現時点では)市販されている行政書士試験の基本書がないのですが、記述式部分の学習を強化したい方にはおすすめしたい一冊です。