会社法の株式会社の機関から会計監査人について学習します。
会計監査人の権限
会計監査人は、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する(396条1項前段)。
会計監査人は、いつでも、会計帳簿等の閲覧及び謄写をし、又は取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対し、会計に関する報告を求めることができる(396条2項)。
会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計監査人設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる(396条3項)。
会計監査人は、株式会社の計算書類等を監査します。監査役が業務監査権を有しているのに対して、会計監査人は、会計分野に特化して監査権を有しています。つまり、会計監査の専門家といえます。このことから、「会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。」とされています(337条)。会計参与は、税理士または税理士法人でもなることができた点と比較しておきましょう。
株主総会以外の機関の設置において、「会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない」と出てきました(327条3項)。会計監査人は、監査役のもとで、会計分野の監査をすると考えることができます。なお、カッコ書きで、「監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社を除く」となっているのは、これらの会社は、監査役の役割をする役員を別途置いているからです。
会計監査人の任期は、1年です(338条1項)。もっとも、定時株主総会において、別段の決議がされなかったときは、再任されたものとみなされます(338条2項)。以前、学習したように、会社法は、「役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。)及び会計監査人」(329条)といったように、役員に会計監査人を含んでいません(役員等と表記されます)。このことから、会計監査人は、取締役や監査役などとは少し異なるポジションであるという感覚をもっておきましょう。
試験対策として、会計監査人はどのような役割があるかおさえておけば十分です。