会社法の株式会社の株式から単元株式数について学習します。
第6節「単元株式数」は、全4款で構成されています。
- 第1款 総則
- 第2款 単元未満株主の買取請求
- 第3款 単元未満株主の売渡請求
- 第4款 単元株式数の変更等
第1款 総則
単元株式数
株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において1個の議決権を行使することができる1単元の株式とする旨を定款で定めることができる(188条1項)。
前項の一定の数は、法務省令で定める数[1000及び発行済株式の総数の200分の1に当たる数]を超えることはできない(同条2項、規則34条)。
種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない(同条3項)。
単元株制度を利用することによって、会社は、単元未満株主に株主総会通知を発しなくてよくなるなど費用を節約することができるようになります。
単元未満株式についての権利の制限等
単元株式数に満たない数の株式(単元未満株式)を有する株主(単元未満株主)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない(189条1項)。
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる(同条2項)。
① 取得対価の交付を受ける権利[全部取得条項付種類株式]
② 取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利
③ 株式無償割当てを受ける権利
④ 単元未満株式を買い取ることを請求する権利
⑤ 残余財産の分配を受ける権利
⑥ 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利
株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる(同条3項)。
株式会社は、単元未満株式について、条文に列挙されている権利以外の権利を行使することができない旨を定款で定めることができます。反対に言うと、買取請求などの権利を制限することはできません。
定款変更手続の特則
株式会社は、次のいずれにも該当する場合には、第466条[定款の変更]の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数。以下この条において同じ。)を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる(191条)。
① 株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設けるものであること。
② イに掲げる数がロに掲げる数を下回るものでないこと。
イ 当該定款の変更後において各株主がそれぞれ有する株式の数を単元株式数で除して得た数
ロ 当該定款の変更前において各株主がそれぞれ有する株式の数(単元株式数を定めている場合にあっては、当該株式の数を単元株式数で除して得た数)
原則として、定款を変更するときは、株主総会の特別決議による必要があります(466条、309条2項11号)。もっとも、1号と2号のいずれにも該当する場合、つまり、株主の不利益にならない単元株式数の変更については、株主総会の決議によらないで、行うことができます。
まず、株式の分割と同時に単元株式数を増加または設定するものであることが必要です。次に、各株主が有する議決権が減少しないことが必要になります。たとえば、株式の分割をして1株が2株になり、単元株式数が1株から2株になるといった場合は、実質的に変わらないため、株主総会の決議が不要になるということです。
第2款 単元未満株主の買取請求
単元未満株式の買取りの請求
単元未満株主は、議決権を行使することができないなどの制限を受けるため、株式会社に対して、単元未満株式を買い取ることを請求することができます。
第3款 単元未満株主の売渡請求
先ほどとは反対に、単元未満株主が売渡請求をするというものです。もっとも、売渡請求をすることができる旨を定款で定めることができるというだけであって、単元未満株式の買取りの請求のような権利ではないことに注意しましょう。
第4款 単元株式数の変更等
原則として、定款変更には株主総会の特別決議が必要ですが、単元株式数を減少または廃止することは株主にとって不利になることはないので、取締役の決定によって、することができます。