【不動産登記法】信託に関する登記について、申請方法等のまとめ

不動産登記法

不動産登記法の登記手続の権利に関する登記から信託に関する登記について学習します。

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信託の登記の登記事項

信託の登記の登記事項は、第59条各号[権利に関する登記の登記事項]に掲げるもののほか、次のとおりとする(97条1項)。

① 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
② 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
③ 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
④ 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
⑤ 受益証券発行信託であるときは、その旨
⑥ 受益者の定めのない信託であるときは、その旨
⑦ 公益信託であるときは、その旨
⑧ 信託の目的
⑨ 信託財産の管理方法
⑩ 信託の終了の事由
⑪ その他の信託の条項

信託について学習するにあたり、信託法をみてみましょう。

この法律において「信託」とは、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう(信託法2条1項)。

信託の方法は、特定の者に対し財産の譲渡など財産の処分をする旨、特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分など信託の目的の達成のために必要な行為をすべき旨の信託契約をする方法などによって行われます。かんたんにいうと、他の人に資産の運用をお願いするということです。そして、信託契約をして、不動産の運用などをお願いしたときは、その内容について登記をします。

試験対策に必要な範囲で、用語の定義を確認しましょう。

委託者」とは、信託をする者をいいます(信託法2条4項)。

受託者」とは、信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいいます(信託法2条5項)。

受益者」とは、受益権を有する者をいいます(信託法2条6項)。

信託の登記の申請方法等

信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない(98条1項)。

信託の登記は、受託者が単独で申請することができる(98条2項)。

信託の登記の申請は、所有権の移転等の登記の申請と同時にします。信託の登記は、受託者が単独で申請することができます。信託部分に関しては、委任されていると考えることができます。

代位による信託の登記の申請

受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができる(99条)。

受託者の変更による登記等

受託者の任務が死亡、後見開始若しくは保佐開始の審判、破産手続開始の決定、法人の合併以外の理由による解散又は裁判所若しくは主務官庁の解任命令により終了し、新たに受託者が選任されたときは、信託財産に属する不動産についてする受託者の変更による権利の移転の登記は、第60条[共同申請]の規定にかかわらず、新たに選任された当該受託者が単独で申請することができる(100条1項)。

受託者が2人以上ある場合において、そのうち少なくとも1人の受託者の任務が前項に規定する事由により終了したときは、信託財産に属する不動産についてする当該受託者の任務の終了による権利の変更の登記は、第60条の規定にかかわらず、他の受託者が単独で申請することができる(100条2項)。

死亡や後見開始、破産手続きの開始などの理由により受託者の任務が終了し、新たに受託者が選任されたときは、前の受託者を関与させることが難しいため、受託者の変更による権利の移転の登記は、新たに選任された受託者が単独で申請することができます。2項も同様の趣旨により、受託者が2人以上ある場合において、そのうちの1人の受託者の任務が前述の理由で終了したときは、変更の登記は、他の受託者が単独で申請することができます。

嘱託による信託の変更の登記

裁判所書記官は、受託者の解任の裁判があったとき、信託管理人若しくは受益者代理人の選任若しくは解任の裁判があったとき、又は信託の変更を命ずる裁判があったときは、職権で、遅滞なく、信託の変更の登記を登記所に嘱託しなければならない(102条1項)。

受託者の解任の裁判があったときなどは、裁判所書記官は、信託の変更の登記を登記所に嘱託します。

信託の変更の登記の申請

第97条第1項各号[信託の登記の登記事項]に掲げる登記事項について変更があったときは、受託者は、遅滞なく、信託の変更の登記を申請しなければならない(103条1項)。

信託の登記の登記事項について変更があったときは、受託者は、信託の変更の登記を申請します。信託に関しては、任されている受託者がするという点を意識しましょう。

信託の登記の抹消

信託財産に属する不動産に関する権利が移転、変更又は消滅により信託財産に属しないこととなった場合における信託の登記の抹消の申請は、当該権利の移転の登記若しくは変更の登記又は当該権利の登記の抹消の申請と同時にしなければならない(104条1項)。

信託の登記の抹消は、受託者が単独で申請することができる(104条2項)。

信託の登記の抹消の申請は、権利移転の登記などの申請と同時にしなければなりません。最初と最後は同時に行う必要があるという点をおさえましょう。信託の登記の抹消も、受託者が単独で申請することができます。

SOMEYA, M.

東京都生まれ。沖縄県在住。司法書士試験対策について発信しているブログです。【好きなもの】沖縄料理・ちゅらさん・Cocco・龍が如く3

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