行政書士試験の記述式問題では、行政法から1題、民法から2題、合計3題(問題44〜46)出題されます。多肢選択式と記述式は、苦手意識を持っている方が多いと思います。
ここで、直近の出題状況を確認してみましょう。
令和5年度
- 問題44:行政法(仮の差止め)
- 問題45:民法(物上代位)
- 問題46:民法(契約不適合責任)
令和5年度は、行政法は「仮の差止め」が出題されました。このあと遡ると、行政事件訴訟法の抗告訴訟について多く問われていることがわかります。
令和4年度
- 問題44:行政法(義務付け訴訟)
- 問題45:民法(無権代理)
- 問題46:民法(妨害排除請求)
令和4年度は、民法が無権代理と妨害排除請求ということで、どちらも答えやすい問題だったといえます。また、行政法も抗告訴訟について押さえておけば答えられた問題だと思います。
令和3年度
- 問題44:行政法(行政指導)
- 問題45:民法(譲渡制限)
- 問題46:民法(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
令和3年度は、民法から不法行為の「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」(717条)について問われています。行政書士試験の学習だと、少し細かい知識だったかもしれません。
令和2年度
- 問題44:行政法(無効等確認訴訟)
- 問題45:民法(詐欺)
- 問題46:民法(背信的悪意者)
令和2年度は、行政法が「無効等確認訴訟」、民法が「詐欺」と「背信的悪意者」ということで、多くの方が押さえることができていたであろう分野からの出題となりました。
令和元年度
- 問題44:行政法(処分等の求め)
- 問題45:民法(共有)
- 問題46:民法(第三者のためにする契約)
令和元年度は、行政法は、行政手続法の「処分等の求め」が出題されました。問題文の事例からどのようなことができるかを導くのは、他の年と比べると少し難易度が高いように感じます。また、民法の「第三者のためにする契約」は、行政書士試験では、失点しても仕方がないと思います。
傾向と対策
記述式問題は、行政法から1題、民法から2題出題されます。
行政法は、行政手続法や行政事件訴訟法から条文に沿った形でスタンダードな問題が出題される傾向があります。一方、民法は、2題のうち、1題は主要な分野から出題されることが多く、もう1題が比較的細かい分野から出題される傾向があるようです。
記述式問題は、1題20点、合計60点と配点が高いため、無視することはできず、反対に記述式の配点を味方につけられるようになると、行政書士試験をかなり有利に運ぶことができます。
記述式問題は、文章が長く、驚いてしまいそうになりますが、答える内容については、「誰に対し」「どのようなことをするか」といったことが、2, 3個書かれているので、それに沿って、各々10〜15字で書いていくと答えができるようになっています。