ここでは、行政事件訴訟法の抗告訴訟の全体像について解説します。
まず、「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいいます(3条1項)。
この抗告訴訟は、行政事件訴訟法の第2章に規定されています。
- 第1章:総則
- 第2章:抗告訴訟
- 第3章:当事者訴訟
- 第4章:民衆訴訟及び機関訴訟
- 第5章:補則
本試験対策として、抗告訴訟は、行政事件訴訟の中で中心となる部分です。
取消訴訟
抗告訴訟は、取消訴訟とその他の抗告訴訟に分けられます。
- 第1節:取消訴訟
- 第2節:その他の抗告訴訟
さらに取消訴訟は、処分の取消しを求める「処分の取消しの訴え」(3条2項)と、審査請求に対する行政庁の裁決の取消しを求める「裁決の取消しの訴え」(3条3項)に分けられます。
- 処分の取消しの訴え
- 裁決の取消しの訴え
このように聞くと難しく感じますが、処分等に対して審査請求をせずに行政事件訴訟を提起したものが「処分の取消しの訴え」、処分等に対して審査請求をして、その裁決に対して行政事件訴訟を提起したものが「裁決の取消しの訴え」になります。この2つを合わせて「取消訴訟」といいます。
その他の抗告訴訟
その他の抗告訴訟には、「無効等確認の訴え」(3条4項)、「不作為の違法確認の訴え」(3条5項)、「義務付けの訴え」(3条6項)、「差止めの訴え」(3条7項)があります。
抗告訴訟のメインは、取消訴訟でそれ以外の訴訟がひとつにまとめられているイメージです。
- 取消訴訟(処分の取消しの訴え・裁決の取消しの訴え)
- 無効等確認の訴え
- 不作為の違法確認の訴え
- 義務付けの訴え
- 差止めの訴え
行政事件訴訟は全体像をつかむことが大切と言われますが、最初から全体像をつかむのは正直なところ難しいと思います。まずはひとつずつの訴訟について理解を深めつつ、今はどの部分を学習しているのだろうと振り返りながら学習を進めていくのをおすすめします。
ここまでで、抗告訴訟の全体像がわかりました。
続いて、抗告訴訟の取消訴訟について具体的に見ていきましょう。