不動産登記法の登記手続の権利に関する登記から官庁又は公署が関与する登記等について学習します。
官庁又は公署の嘱託による登記
国又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない(116条1項)。
国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない(116条2項)。
官公署が登記権利者となるときは、必ず嘱託し、官公署が登記義務者となるときは、登記権利者の請求があったときとなっている点に注意しましょう。
官庁又は公署の嘱託による登記の登記識別情報
登記官は、官庁又は公署が登記権利者のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁又は公署に通知しなければならない(117条1項)。
前項の規定により登記識別情報の通知を受けた官庁又は公署は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない(117条2項)。
官公署が登記権利者のためにした登記の嘱託に基づいて登記が完了したときは、登記識別情報が官公署に通知され、官公署は、これを登記権利者に通知します。
一方、登記識別情報の通知を受けるべき者が官公署である場合は、原則として登記識別情報は通知されません。登記手続の総則で学習した条文を確認しましょう。
ただし書きについて、規則を確認します。
法第21条ただし書の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする(規則64条1項)。
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④ 登記識別情報の通知を受けるべき者が官庁又は公署である場合(当該官庁又は公署があらかじめ登記識別情報の通知を希望する旨の申出をした場合を除く。)
官公署は登記が必要なときは嘱託すればよく、登記識別情報が不要のため、原則として登記識別情報が発行されません。もっとも、あらかじめ登記識別情報の通知を希望する旨の申出をした場合は、例外の例外として登記識別情報が発行されます。